無数のひび割れ…不安定な現状を実感 長崎の雲仙・普賢岳で防災視察登山

西日本新聞 夕刊 真弓 一夫

 長崎県の雲仙・普賢岳の溶岩ドーム(平成新山、1483メートル)に近づくと、一枚岩に見える麓からの眺めとは全く違う世界が広がっていた。直径数メートルから大人の頭ほどの岩で埋め尽くされ、高さ数十メートルもある岩塊には無数のひび割れが走る。地震などによる崩壊の恐れが指摘されている不安定な現状をあらためて実感した。

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 同県島原市と九州大地震火山観測研究センターが28日に行った防災視察登山に同行した。紅葉が色づき始めた登山道を歩き、約1時間半で溶岩ドームの入り口に。立ち入りが制限されている警戒区域に入ると、大岩だらけの世界に様変わりした。ぐらつく岩も多く危険だ。はい上がるように200メートルほど登り、ドームの上に立った。

 溶岩ドームは長さ(東西)約600メートル、幅(南北)約500メートル、厚さは約240メートル。頂上部には噴火活動の最後に押し出された岩尖{がんせん}(高さ約30メートル)がそびえ、噴気が白い湯気となってもうもうと立ち上っている。噴き出し口の温度は91度。センター長の清水洋教授は「噴火活動終息宣言の前年の1995年には700度以上あったが、少しずつ下がってきた」と話す。

 溶岩ドームの体積は約1億立方メートル。福岡市のヤフオクドーム約53個分に当たる。普賢岳の岩盤との間に火山灰などの噴火堆積物があるため、年平均約6センチずつ東南東方面にずり落ちている。溶岩ドームから東南東方面を見下ろすと、高さ数十メートルはある巨岩がいくつもある。その先に見えるのは、ドーム崩落などに備えて国土交通省雲仙復興事務所が手掛ける水無川の大規模な砂防施設。下流には島原市南部の街並みが広がる。

 「ドームは非常に不安定。地震などで揺さぶられると崩落の恐れがある」と清水教授。溶岩ドームの上に立ち、その言葉の重みをかみしめた。

(文・真弓一夫、写真・帖地洸平)

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