同じ作品はないし、同じ人もいない 福岡市・工房まる <連載>チャレンジド×アート(2)

西日本新聞

 机に広がる猫、猫、猫…。制服風のユニホームや剣士などコスチュームもさまざまで、見ているだけで楽しくなる。福岡市南区にある「工房まる」のアトリエで生み出される木工作品の一つだ。

 ちょっと生意気そうな目が愛らしいキーホルダーは、これまでに約1500個が製作された。でもデザインは一つ一つ異なる。全て工房まるのアーティストが猫の衣装を考えて描く。スタッフの服を参考にすることもあるとか。福岡県内のミュージアムショップや猫専門店などでも販売されており、年間400個を売り上げるという人気ぶりだ。

「羊の金平糖」シリーズは温かみのある生地に美しい色合いが表れる

 「同じ物がない」という唯一性が、工房まるの最大の特徴だろう。羊毛を使った「羊の金平糖(こんぺいとう)」シリーズもそうだ。さまざまな色の羊毛を重ねてこすり合わせてできるマーブル模様のフェルト地を使ったブローチ。作品には番号が付いていて、番号ごとに作品名や完成写真、コメントが記録されている。

 例えば、黄、緑、茶の3色を使った「ひまわり」は「ジャマイカ代表のユニホームのような色使い」というコメントが添えられている。丸い形を彩る色の重なり合いは、まさにコンペイトー。微妙なマーブル模様は、もう一度同じ材料で同じ人が同じように作ろうとしても、再現することはできない。

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 作品だけではなく、工房まるに通うアーティストも、オリジナリティーが光る人ばかりだ。

石井悠輝雄さん。繊細な線で描く絵が人気だ

 熱心に筆を振るう石井悠輝雄さん(39)は幼いころから絵を描くのが好きだった。「その時によって作風が変わる」と話す通り、作品によって印象はさまざま。みずみずしい色使いや繊細な線で作り出す世界は、挿絵やポスターなどの絵の仕事を多く任されている。

 過去には天神地下街の40周年を記念したモニュメントの原画も手がけた。パリの町並みをイメージした原画は、エッフェル塔や凱旋(がいせん)門などの名所、印象派の画家モネが聖堂をスケッチしている様子も描かれている。途中で体調を崩しながら、最後は2日間徹夜して仕上げたという石井さん。「夢中になったら一直線になってしまうところがある」

石井さんの作品「雨のあと」は水彩らしさを生かしたみずみずしい色遣い

 「雨のあと」は、写真から描いた。雨上がりらしい写真だったため、あえて輪郭をとらず、水彩絵の具を使って、雨にぬれた公園を描き出した。

石井さんの作品「抹茶キャンデー」。中央の木立をキャンデーに見立てて、タイトルをつけた

 一方、「抹茶キャンデー」は似た色調だが、印象が異なる。こちらはアクリル絵の具や墨を使って描いており、線のあいまいさや画面の白っぽさがあいまって、夏の日差しを感じさせる1枚。表情の違う2作品は、どちらも同じ日に描かれたというから驚く。

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 色鉛筆を使うことが多いという松永大樹さん(36)は、20歳から描き始めた。似顔絵や雑誌に出ている芸能人など人物を描くことが中心だが、風景画に挑戦することもある。

松永大樹さんは、パステルや色鉛筆を使った優しい印象の絵を描く

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