被爆聞き書き、学生立つ 福岡の生協証言集に8人初参加 「声発するのは私たち」

西日本新聞 社会面 横田 理美

 エフコープ生活協同組合(福岡県篠栗町)が戦後50年の1995年から続けている被爆体験証言集の聞き書き活動に、今年初めて、県内の大学生が参加した。被爆者の思いを令和の時代も受け継いでいきたい-。聞き手となった平成生まれの大学生たちは、平和への思いを新たにした。

 証言集は「つたえてください あしたへ…」。年1回発刊している。今年は広島と長崎で被爆し、福岡県内で暮らす10人の話をまとめた。筑紫女学園大2年の平田桃子さん(19)は、当時広島市の旧制中学2年生で、学徒動員先から自宅へ帰る途中、路面電車内で被爆した小田薫三(くんそう)さん(88)=福岡市南区=を訪ねた。

 「真っ青と赤との光がワッとなって」「ダーッとむけた腕の皮が爪で止まってね」…。爆心地から1・3キロの地獄絵図。「原爆はね、被爆した人しか分からん」。穏やかな表情で語る小田さんだが、孫にもほとんど話してこなかったという。

 小田さんの生々しい体験を聞きながら、ペンを握る手に力がこもった。小学校の修学旅行。長崎市の長崎原爆資料館で、戦争への恐怖が芽生えた。「人が人でなくなるのが恐ろしくて…」。高校時代にはベトナム戦争の地を踏み、戦争と平和を深く考えた。そして今年、老いた被爆者に寄り添い、「私が後世に残す」と誓った。

 平田さんら大学生8人と組合員ら計約50人が被爆者から聞き取り、まとめた25冊目の証言集は6月に発刊。今月28日には福岡市内のホテルで記念の交流会が開かれた。小田さんの姿もあり、「若い人がじっくり話を聴いてくれて…。生きていてよかったと、この年になって思います」。証言集を手に何度もうなずいていた。

 「戦争はしてはいけないと声を発することができるのも、これからを生きていく私たちです」。証言集のあとがきにこうつづった平田さん。将来は何らかの形で子どもたちに平和の尊さを伝える仕事をしたいという。「つたえてください あしたへ…」には25年間で延べ284人の証言を掲載。エフコープのホームページで閲覧できる。 (横田理美)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ