人形浄瑠璃、英国人が一役 八女に移住、シングルトンさん 11月3日公演

西日本新聞 社会面 丹村 智子

 福岡県八女市黒木町で受け継がれる人形浄瑠璃「旭座人形芝居」(県指定無形民俗文化財)の公演に向けて、現地に住む英国人のシングルトン・ルパートさん(52)が奮闘している。明治初頭に始まった同地区の人形浄瑠璃に外国人が参加するのは初めて。地元保存会も「新しい風が吹くことで、若い人や海外の方にも興味を持ってもらえたら」と期待を込める。

 真剣なまなざしで人形に寄り添いながら、すり足で舞台を進む。演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」。3人で1体の人形を動かす方式で、シングルトンさんは思いを寄せた娘に切られる男の左腕を操る「左遣い」を担う。「息を合わせて連動するのが難しい」と練習の日々だ。

 同地区の人形浄瑠璃は1872年ごろから、祝いの席などで披露されたのが始まりとされる。近年は過疎化で後継者不足になり、座元は現在9人。60年前の3分の1に減ったため、毎年11月3日の定期公演の際は市内外に参加を呼び掛けている。シングルトンさんは「歴史の一部となって文化を継承していけることがうれしい」と話す。

 フリーカメラマンのシングルトンさんはかねて日本文化に関心があり、2013年に福岡市に移住。国内外のメディア向けに九州の人や自然を撮影しており、昨春訪れた八女市で、藤の花や田畑の美しさに魅了された。交際していた原口朝木さん(37)と昨年10月に結婚し、現在は同市内の古民家で暮らす。

 公演には昨年から原口さんが参加しており、2人で出席した寄り合いで話が持ち上がり、シングルトンさんも加わることになった。旭座人形芝居保存会の石崎九十九会長(75)は「思わぬところから地域の文化に関心を持ってもらえて、大歓迎している」と喜んでいる。

 公演は11月3日午後1時半から、観覧無料。同市黒木町の旭座人形芝居会館。 (丹村智子)

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