父・英信は師に捧げた 作兵衛さん映画、筑豊で上映 上野朱さん「炭坑記録 『文と写真で』と」

西日本新聞 吉田 昭一郎

 数多くの炭坑記録画と日記が「世界の記憶(世界記憶遺産)」になった福岡県・筑豊の炭坑絵師、山本作兵衛さん(1892~1984)の人生とともに明治以降の日本の歩みをたどるドキュメンタリー映画「作兵衛さんと日本を掘る」(熊谷博子監督)が11月2、3日、筑豊各地で初めて上映される。映画にも登場する記録作家、上野英信さん(1923~87)の長男朱(あかし)さん(62)に、父と作兵衛さんとの深い交わりを聞いた。

 上映会場の一つは、炭鉱盛期ににぎわった大衆演劇の殿堂、嘉穂劇場(福岡県飯塚市)。そこは、英信さんが作兵衛さん没後1年の1985年秋、俳優中西和久さんや記録作家の森崎和江さん、井手川泰子さんらに呼び掛け盛大に開いた追悼行事「山本作兵衛翁記念祭」の会場でもあった。

 「父は、固まった記念祭の演出案を一夜にして覆すなど、周囲を振り回していた。納得いくまで何度も書き直した原稿の書き方そのもの」と朱さん。記念祭への入れ込みようは尋常ではなかった。

 作兵衛さんは60代半ばから約30年間、自らの経験をもとに、男も女も裸一貫で働いた明治・大正の炭坑を描き続けた。92歳で亡くなる数日前まで、絵に打ち込んだ。

 「高等小学校に80日通っただけの無名のおじいちゃんがすごい絵を残している。父は大学に進み、自ら炭坑で働き、取材を重ねて本は書いたが、かなわない。炭坑の記録者として根底から揺さぶられるような衝撃が作兵衛さんとの出会いにはあったと思う」と朱さんは言う。

 

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