有田焼と2020東京五輪 古賀 英毅

西日本新聞 オピニオン面 古賀 英毅

 東京五輪・パラリンピックと有田焼。一見、縁がなさそうな二つを結ぶものがある。

 有田焼をはじめとする磁器は中国が源流。碧玉(へきぎょく)をまねたという青磁は、2千年前に完成したとも言われる。

 一方、日本の磁器は17世紀に誕生した。古伊万里は主に呉須(ごす)(顔料)で青い絵を描いた染付(そめつけ)が中心だ。

 染付は中国で「青花」と呼ばれた。青磁より千年以上も遅い14世紀、元で本格的に焼かれ始め、日本でも人気があった。有田焼は、その“売れ筋”の国産化を目指したものだろう。呉須の青は有田焼の基本色とも言える。

 その青で、花や鳥などさまざまな文様を描いた。近年は文様のないモダンなデザインもあるが、青で文様を描くのが本来、有田焼の伝統であると、佐賀県立九州陶磁文化館(有田町)の鈴田由紀夫館長は考えている。

 よく見掛けるのが唐草文である。鈴田さんによると、伸びてつながる唐草のイメージは繁栄を象徴する。めでたい吉祥文の一つという。

 このつながる青い文様が東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムなのだ。作者は美術家の野老(ところ)朝雄さん。

 野老さんは他色に比べ、あせることが少ない青を気に入った。「つながる」ことをイメージし、3種類の四角形を1点でつなぎ円を作った。とがったものでも一つの接点があれば丸くなる。宗教や政治、もろもろが原因となって対立する世界も、接点さえあれば平和になる。そんな願いを込めた現代の吉祥文である。

 野老さんが有田を初めて訪れたのは2016年秋。エンブレム発表後である。有田焼の知識は「人並み」で、伝統的な意匠と自らのデザインの近さを鈴田さんに教えられて「驚いた」という。

 現在、野老さんと有田焼のコラボ特別企画(24日まで)が文化館で開催中だ。「(企画開催は)運命的な流れだった」と語る野老さん。「福」の字をつなげた「福福紋様皿」などを展示し、次の制作を見据える。

 400年の伝統と2020年。接点をどう生かすのか。有田焼の新しい可能性を示している。

 (伊万里支局長)

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