相次ぐ閣僚辞任 深刻な長期政権のひずみ

西日本新聞 オピニオン面

 もはや「たがが緩んだ」という段階を超え、長期政権の深刻なひずみが露見してきた-と判断せざるを得ない。改めて任命責任が問われる安倍晋三首相は危機的状況を直視すべきだ。

 今度は河井克行法相が辞任に追い込まれた。先週の菅原一秀前経済産業相に続く閣僚の辞任である。毎週のように閣僚が自らの不祥事で退場していく光景は異常というほかない。

 「政治とカネ」の問題などで閣僚が次々と「辞任ドミノ」に巻き込まれ、自らの退陣の引き金となった第1次政権の「悪夢」が安倍首相の心中によみがえったとしても不思議ではない。

 河井氏の辞任は、参院議員である妻の案里氏が参院広島選挙区で運動員に法定の倍に相当する日当を支払った公選法違反疑惑や、自身の贈答品疑惑が週刊誌で報じられたからだという。「妻も私も全くあずかり知らない」なら、なぜ辞めるのか。

 選挙区内の有権者にメロンなどを配った疑惑を報じられ、秘書が香典を渡した事実を突き付けられて辞めた菅原氏をほうふつさせる。公選法のイロハのイすらわきまえないような人物をなぜ、閣僚に起用したのか。

 国会で野党の追及を受ける前に辞表を出させ、間髪入れず後任を発表する政権の「手際のよさ」も共通して際立つ。

 波風を立てずに長期政権を運営するため、閣僚人事では自民党内の主要派閥や有力者の意向を最大限尊重する。もし閣僚の失言やスキャンダルで辞めざるを得なくなったら、火が燃え広がらないうちに手を打ち、国会は巨大与党の数の力で乗り切る-。それを「危機管理」と心得ているとすれば、まさに長期政権のおごりにほかならない。

 「任命した責任は私にある」という安倍首相の言葉も先週の発言の録音を聞くかのようだ。任命責任が首相にあることは野党も国民も承知している。問題は責任をどう果たすかだ。「より一層身を引き締める」だけでは済まされない。

 内閣改造から2カ月もたたないうちに、2人の閣僚が辞めたのはなぜか。この教訓を、今後の政権運営にどう生かすつもりなのか。首相は国会で国民に向けて丁寧に説明してほしい。

 辞めた2人には、決して「逃げ得」を許さず、国会で説明責任を果たすよう党総裁として指導する責任も全うすべきだ。

 甚大な台風被害が発生したのに「まずまずで収まった」と言い放つ自民党幹事長と、「雨男」発言の防衛相に「身の丈」発言の文部科学相。耳を疑うような失言と、波紋が広がった後の謝罪や撤回も相次ぐ。首相は長期政権に根差す構造的な問題として向き合うべきではないか。

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