お昼寝ばかりのニャー駅長…実は復興願う”招き猫” <連載>ねこ駅長を訪ねて(1)JR豊後竹田駅

西日本新聞 押川 知美

 JR博多駅から特急「ソニック」で約2時間。別府湾やサルで有名な高崎山自然動物園を過ぎると、大分市の市街地が見えてきた。大分駅で豊肥本線に乗り換え、渓谷や石橋を眺めながら1時間ほど電車に揺られ、ようやく駅長の勤務先であるJR豊後竹田駅に到着した。

【写真特集】人懐っこいニャー駅長の“お仕事ぶり”

 学生さんにスーツ姿の会社員、色とりどりのウェアに身を包んだ登山のグループ、それに負けないほど大きな荷物を背負った外国人観光客-。行き交う人の傍らで「駅長」はごろごろしていた。気が向いたら伸びをして…またごろごろ。

 愛くるしい姿で乗客を和ませるキジトラ猫の「ニャー」は昨年4月、JR豊後竹田駅(大分県竹田市)の駅長に就任した。

武家屋敷風のつくりの豊後竹田駅。右奥に「落門の滝」が流れる

 ホームには市ゆかりの作曲家、滝廉太郎の名曲「荒城の月」のメロディーが流れる。北西方面を見上げると、「落門の滝」という滝まで見ることができる風光明媚(めいび)な駅だ。

 さて、駅長にあいさつを。

 「駅長は本棚の上でお休み中です」。竹田市観光ツーリズム協会の藤野めぐみさん(47)が教えてくれた。本棚へ急ぐと、茶色のしま模様で毛並みの良い駅長が、すやすやと寝息を立てて眠っていた。か、かわいい…。

駅の人気者です

 ニャーは推定12~13歳のメスで、人間でいうと高齢の女性。もとは駅に住み着く野良猫だった。利用客やタクシーの運転手にすり寄る人懐っこい性格。「ニャー、ニャー」と近づいてくる様子を、藤野さんがそのまま名前にした。

   ◇   ◇

 のどかな駅の風景を一変させたのが、2016年4月の熊本地震だった。

 各地の交通網が被災し、大分市と熊本市を結ぶJR豊肥線も線路が寸断される被害を受けた。

線路が寸断された豊肥線瀬田―立野間の斜面崩落現場=2017年4月、熊本県南阿蘇村(本社ヘリから)

 豊肥線は「阿蘇高原線」の愛称でも親しまれる、阿蘇に向かう観光の主要ルート。だが震災から3年半がたった現在でも、肥後大津駅-阿蘇駅間の27・3キロは不通で、全面再開は2020年度までかかる見込みだ。豊肥線が寸断されたため、豊後竹田駅には熊本市からの乗り入れができず、利用客は減少した。

 駅に少しでもにぎわいを取り戻したい。震災復興を願う〝招き猫〟に――、と観光ツーリズム協会が白羽の矢を立てたのが、そんな事情も知らずに駅でのんびり日々を過ごすニャーだった。

爪研ぎをして、身だしなみのチェックも欠かせません

 

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