最高齢バーテンダーの半生描く 記録映画「YUKIGUNI」 KBCシネマで11月4、7日

西日本新聞 吉田 昭一郎

 山形県酒田市でバーを経営する国内最高齢のバーテンダー、井山計一さん(93)の半生を追ったドキュメンタリー映画「YUKIGUNI」が11月4、7日に福岡市のKBCシネマで公開される。渡辺智史監督(38)に話を聞いた。

 1959年、壽屋(現・サントリー)主催の全国コンクールで、井山さん創作のカクテル「雪国」がグランプリを受賞、その後、スタンダードとして全国で愛飲されている。井山さんの店には全国各地から至宝のカクテルと語りを求めて客が訪れる。映画では、井山さんの歩みと「雪国」誕生の経緯、家族や常連客、バーテンダー仲間ら井山さんを取り巻く人々の人生模様を描く。

 出身地の同県鶴岡市を拠点に活動する渡辺監督は5年前、「隣まちの酒田に著名なバーテンダーがいる」と聞き店を訪ねた。「家族の支えでカウンターに立ち続ける井山さんの生き方と軽妙な語りに、昭和の懐かしさや『古びない美しさ』を感じた。生涯現役を貫く姿は人生100年時代の人々に勇気を与えることができると思った」と製作のきっかけを振り返る。

 ◆地方にいるから持てる問題意識

 渡辺監督は、東北芸術工科大(山形市)を卒業後、上京し、ドキュメンタリー映画監督の飯塚俊男さんに師事。独立後、最初の作品「よみがえりのレシピ」で地域古来の作物である「在来作物」を取り上げ、撮影の主舞台がたまたま鶴岡市となった経緯もあって帰郷し定住。前作「おだやかな革命」では全国各地で再生可能エネルギーの市民発電の取り組みを追うなど、地域課題に目を向けてきた。

 製作母体は、東日本大震災の後、首都圏からUターンした若者らと立ち上げたクリエーティブ集団「いでは堂」(鶴岡市)。ドキュメンタリー映画製作・配給のほか、行政、企業のPRビデオ制作、地域の若者を紹介するサイトの立ち上げなど、地域に根ざして活動している。

 「地方にいるからこそ持てる問題意識がある。地方は日本の縮図。いろいろな課題が詰まっている」と渡辺監督。「今後撮ってみたいと考えているのは、派遣社員とその親。収入は不安定で親の高齢化は進む。そういう立場にある中学校の同級生がたくさんいる」と意欲を見せた。(吉田昭一郎)

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