「受験生無視」憤り 英語民間試験見送り 九州の教育現場「決断遅すぎる」

西日本新聞 社会面 四宮 淳平 本田 彩子 金沢 皓介

 新たな大学入試改革の目玉が、来春の制度開始を前にいきなりつまずいた。大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入を推し進めてきた文部科学省は1日、一転して見送りを発表した。あなたの特命取材班が無料通信アプリLINE(ライン)でつながる九州の現役高校生ら約5800人のフォロワー(通信員)に受け止めを尋ねたところ、「決断が遅すぎる」「今後どうすればいいのか」といった批判、困惑の声が相次いだ。

 福岡市のある公立高校では、1日朝からこの話題で持ちきりだったという。2年の男子生徒(17)は「急展開で気持ちが整理できない」。導入が予定されていた新制度は英検など7種類の民間試験の成績を2回まで、大学が合否判定などに活用するもの。このうち英検とGTECを希望し、英検は予約金を払った。「もう受けなくていいのか、それとも志望大学によっては民間試験の成績が加点されるのか、という情報もない。受験生の都合を完全に無視している」と不信感を募らせた。

 受験費用は1回が5千円から2万円を超えるものもある。経済事情により、選択できる試験が限られるとの批判もあった。

 息子が高校2年の福岡県粕屋郡の女性(47)は「もっと早く決断できなかったのか」と批判する。英検の予約金3千円は既に支払った。母子家庭で受験料の減免対象になるため、必要な非課税証明書を役所でもらうなど準備してきた。「問題を無視して見切り発車して、延期とはお粗末すぎる。予約金はきちんと返金してもらいたい」

 受験生を取りまとめる高校側は戸惑いを隠せない。宮崎県の公立校の40代男性教諭は「準備を続けてきた子どもたちがかわいそう。不安を抱えた中で進んでいくことを懸念していた」と話す。学校は山間部にあり、対象となる生徒たちには事前にアンケートを実施、試験に必要な「共通ID」の取得の準備も進めてきた。その受け付けも中止となり「かなり時間をかけてきたので、その時間がもったいない」と言う。

 民間試験を入試に活用することを表明していた大学にも混乱は広がった。九州大は一定の成績を出願資格とする予定だった。担当者は「学内の会議で何度も検討を重ね、ほかの国立大の動向も見ながら考えた活用法が白紙になった」。

 北九州市立大は全ての学部で活用し、共通テストの英語の得点に加点する予定だった。「文科省の正式通知を受けて対応を協議する。試験の配点を見直す可能性もある」という。

 2021年度入試から、複数の学部で民間試験の結果を加点や出願資格に使う予定だった西南学院大は「詳細を把握した上で、今後の対応を協議したい」と困惑気味だった。 (金沢皓介、本田彩子、四宮淳平)

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