過疎医療支え63年 高木医師の足跡しのび 産山村で村民葬

西日本新聞 佐藤 倫之

 人口約1500人の熊本県産山村で2日、地域医療を長年支え10月22日に95歳で亡くなった医師高木康さんの村民葬があった。父の代から続く医院や村営診療所で63年にわたって診療に当たり、往診や健康指導にも尽力した。市原正文村長は「温厚で優しい人柄で親しまれ、先生の歩みは地域医療の歴史でもあった」と弔辞を述べた。

 村出身の高木医師は熊本医科大(現熊本大医学部)を卒業後、1952(昭和27)年から実家の医院に勤務。外科医だったが、村の医療は幅広く、出産まで立ち会った。

 69年からは閉鎖の危機に陥った村の診療所医師も掛け持ち、小中学校の校医も40年間務めた。引退した2015年、村で初めて「名誉村民」になった。

 2歳の娘を連れて参列した女性(37)は「幼い頃からヘビにかまれたり、おなかが痛くなったりしたら、先生に診てもらっていた。熱発して先生の所に行くだけで、不思議と安心して熱が下がった」と振り返った。

 高木医師の引退後、村の診療所は、複数の医師が村外から通勤して診療を担う。過疎地の医療は何とか守られているのが実情だ。

 喪主を務めた長男一(はじめ)さん(62)も放射線科医師で、現在は大分市内の病院に勤務。「父が70歳の時、後継ぎを打診されたが、事情もあって応えられなかった。父が積み上げてきた業績を誇りに思うし、村の人たちには感謝の気持ちでいっぱい。私もあと3年で定年。これからのことも考えている」と話した。(佐藤倫之)

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ