宇宙観変えた系外惑星発見 町田正博氏

西日本新聞 オピニオン面

◆ノーベル物理学賞

 今年のノーベル物理学賞はスイス・ジュネーブ大のミシェル・マイヨール名誉教授とディディエ・ケロー教授、米プリンストン大のジェームズ・ピーブルズ名誉教授に決まった。ピーブルズ氏は宇宙論、宇宙の構造形成などについての研究、マイヨール氏とケロー氏は太陽系外惑星を発見した功績が評価された。今回、系外惑星の発見の意義を述べたい。

 マイヨール氏とケロー氏は、1994年から18カ月間、142個の太陽と類似した恒星を観測した。いくつかの候補の中から最も有力であった「51 Peg」という恒星を選び詳しく解析し、95年にこの恒星の周囲に惑星が存在することを発表した。これが太陽以外の恒星を周回する系外惑星の初めての発見である。

 95年以前にも多くの研究者が恒星の周りの系外惑星の観測を試みていたが、発見できなかった。そのため惑星を持つ恒星は太陽だけであり、われわれは宇宙で孤独な存在なのかもしれないという考えを当時の研究者は否定することができなかった。そんな中での系外惑星の発見は太陽以外の恒星にも惑星が存在することを示し、太陽系が特別ではないということを示し、人類の宇宙観を大きく変えた。

 彼らが発見した惑星は、地球の約150倍の質量を持ち、恒星からわずか0・05天文単位(1天文単位は太陽と地球間の平均距離)だけ離れていた。太陽系の最も内側にある水星の太陽からの平均距離は0・39天文単位で、その質量は地球の0・055倍。新発見された惑星の存在は、太陽系の惑星とは大きく特徴が異なり、太陽系のような惑星系を想像していた当時の研究者を大変驚かせた。

 その後、大規模な探査が行われ、現在4千を超える系外惑星が見つかっている。彼らが最初に見つけた恒星近傍の巨大惑星は、その後ホットジュピターと呼ばれるようになったが、この種の惑星は数多く見つかっている。多くの系外惑星や惑星系の発見により、さらなる認識の転換がおこった。惑星系は多種多様であるということである。太陽系は多種多様な惑星系の一つにすぎなかったのである。

 95年以前の「太陽系は宇宙で唯一の惑星系かもしれない」という人類の認識の、転換の起点となった系外惑星の発見の意義は大きい。ノーベル物理学賞の受賞決定を心から喜びたい。

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 町田 正博(まちだ・まさひろ)九州大理学研究院准教授 国立天文台助教を経て、2011年から現職。専門は宇宙物理学。主に数値シミュレーションを用いて星や惑星の形成を解明する研究を行っている。

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