荒尾競馬場跡、最先端の街へ バスを自動運転 蓄電で災害対応

西日本新聞 熊本版 宮上 良二

 荒尾市が土地区画整理事業を進めている荒尾競馬場跡地(南新地地区)が、最先端技術を取り入れた未来型の街に発展する可能性が高まっている。この地区を拠点にした市の構想が、国から情報通信技術(ICT)などを駆使した街づくり「スマートシティー」の重点事業化促進プロジェクトに選定されたからだ。構想実現を目指す産官学の推進協議会も発足し、市の新たな挑戦が始まった。

 区画整理事業地は国道389号と有明海に挟まれ、競馬場跡地を中心に宅地を一部含む約35ヘクタール。市の構想では、移動手段として電気自動車(EV)の自動運転による循環バスを走らせ、約400メートル離れたJR荒尾駅と結ぶことも検討する。造成工事中の跡地では、自動運転の実証実験も行いやすいという。

 かつての石炭のまちから、新エネルギーによる地産地消のまちへの転換-。市全域で進める取り組みのモデル地区にも位置付ける。家や事業所、公共施設などに太陽光パネルを設置し、蓄電池を整備。非常時の相互融通など街全体のエネルギーを制御できる仕組みをつくり、EVの電気も活用して災害に強い街を目指す。

 健康づくりでは、健康チェックを日常化する「日常人間ドック」を想定。自宅や職場の鏡に自分の姿を映すだけで、内蔵された装置で心拍数などを計測して体調を確認できるという。

 個人データの活用と保護のシステムづくりも大きな課題。市は大量流出のリスクがある企業への集中管理ではなく、個人に集約する先進的な分散管理を検討する。市民がスマートフォンのアプリなどで個人データを管理できるようにし、ほしいサービスを受けるために自分が同意したデータだけを、必要とする企業に提供する仕組みという。

 例えば、日常人間ドックや検診結果、服薬などのデータを自分のアプリに蓄積し、家族や保健師、医者、薬剤師など、自分が同意した相手と共有することで、最適な健康づくりにつなげるイメージだ。

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 市は8月、スマートシティー事業を推進する協議会を設立した。JTB総合研究所(東京)、三井物産(同)、グローバルエンジニアリング(福岡市)、UR都市機構(横浜市)、有明エナジー(荒尾市)が正会員に、東京大と東北大がアドバイザー会員に名を連ねる。各分野の実現可能性を調べる実証実験などを行い、2025年度をめどに事業化を目指す。

 一方、区画整理事業は21年度から24年度にかけ、造成工事に合わせて順次、土地を引き渡す。心身ともに健康で快適な「ウェルネス拠点」の街づくりが目標で、核施設の「道の駅」や保健・福祉の公共施設のほか、温浴施設、スポーツ施設、ホテル、高層マンションなどを誘致する。現在の場外馬券発売施設は南エリアに移して継続。一戸建ての宅地を含む居住エリアには約千人の人口を見込む。

 スマートシティーに関する自治体や議会の視察は5カ月で20回に上り、企業の訪問も相次ぐ。浅田敏彦市長は「これからつくる新しい街に、スマートシティーの機能を融合させるのは全国でも少ないと思う。ここをモデルに成功した事例は市内全域に広げ、全国にも発信したい」と意気込む。

 ただ、市民からは「スマートシティーの街がどんなものか具体的なイメージが湧かない」(地権者の59歳男性)、「市民の関心は地域の経済が豊かになるかどうかに尽きる」(団体職員の32歳男性)と、冷めた声も上がる。最先端の分野だけに、市民や地元企業などへの丁寧な説明と意見に耳を傾ける姿勢が、より一層求められる。(宮上良二)

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