訪日客誘致、欧米豪に照準 九州、ラグビーW杯契機 「韓国に依存」脱却探る

西日本新聞 総合面 布谷 真基

 日韓関係の悪化が長期化し、韓国人訪日客の減少が観光に影を落とす中、九州の観光地や自治体には、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で多数訪れた欧米やオセアニアなどからの訪日客や、日本国内からの観光客を呼び込もうとする動きが活発化している。九州の訪日客の半数を占めてきた韓国人客に依存しなくても持続できる観光地づくりへの模索が続く。

 ラグビーW杯の開催地になったことを機に、欧州やオセアニアからの継続的な誘客に力を入れるのは大分県だ。今月は英国、12月にはオーストラリアでの旅行商談会に参加するなど、売り込む地域の「多角化」を進めることで、特定の国・地域の政治情勢や経済状況に左右されにくい観光地を目指すという。

 集客が少ない地方部に欧米の訪日客を呼び込むための土台づくりも進む。九州観光推進機構は、世界の観光市場で成長が見込まれる「アドベンチャーツーリズム」の九州での展開に向け、戦略を練り始めた。自然の中で楽しむ運動や地元の人との交流が中心で滞在期間も平均2週間と長くなり、九州に多い離島や農村部にも経済効果をもたらすと期待される。

 九州運輸局は西日本鉄道(福岡市)や福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎の6県などと組み、台湾最大規模とされる旅行商談会「台北国際旅展」(8~11日)に出展する。九州ブースは日本エリア内でも最大級の規模。運輸局の堀信太朗観光部長は「台湾人客はまだ伸びしろがある。(東京から大阪までの)ゴールデンルートから九州に引き込みたい」と意気込む。

 旅行者の多くを韓国人が占めてきた長崎県対馬市。人口3万人余りの島に昨年は約41万人の韓国人が訪れたが、今年の夏以降はほとんどの団体客が姿を消した。同県などは観光客を呼び込むため、島内の宿泊料金を1人1泊当たり3千円割り引くキャンペーン「行っ得!つしま」を今月から始めた。

 離島観光を促す既存の企画乗船券・航空券も同時に使うことができ、組み合わせ次第では1万円以上お得になる計算。ともに来年2月29日までの期間限定だが、県観光連盟の担当者は「対馬が再び活気づくきっかけにしたい」と期待する。 (布谷真基)

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日韓交流「最悪期脱した」  旅行、航空会社「年明け回復」

 悪化した日韓関係で冷え込む両国の交流だが、福岡市に店舗を置く旅行会社や韓国の格安航空会社(LCC)の間には楽観的な見方も広がっている。関係者が口をそろえるのは「年明け回復」の筋書き。既に最悪期は脱したとの見方もあり、先行きを注視する。

 福岡と韓国を結ぶLCCの一つ、エアプサンは2往復に減便していた釜山-福岡線を12月29日から4往復に戻す。イースター航空も運休していた宮崎-ソウル線を同月3日から元の週3便で再開するなど、明るい兆しも一部で見え始めた。

 海外旅行を主力とする旅行会社の担当者は「これ以上悪化できないところまで悪化した。あとは上向くだけ」とみる。実際に韓国旅行の販売は回復傾向にあるといい「売り上げがそれまでの1~2割に減った9月で底を打ったのではないか」とみる。

 一方の韓国側も日本からの誘客に懸命。釜山観光公社の文栄培(ムンヨンベ)グローバルマーケティングディレクター(39)は、日本人客を呼び込むため年明け以降に日本国内やウェブでのプロモーションを強化する考え。文氏は取材に「政治と交流は別だ。両国の関係が良くなることを望む」と語った。 (布谷真基)

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