文氏呼び掛け対話10分 日韓、主張には依然隔たり

西日本新聞 総合面 川合 秀紀 池田 郷

 訪問先のバンコク郊外で4日、約13カ月ぶりに対話した安倍晋三首相と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領。両首脳は日韓の対立を沈静化したいとの思惑では一致するものの、積み重なった懸案を巡る主張の隔たりは大きい。約10分の対話が溝を埋める契機になるかは見通せない。

 韓国側の説明によると、両首脳の対話は4日朝、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合の控室で、先に入室して各国首脳と握手を交わしていた文氏が、遅れて現れた首相を隣席に誘う形で始まったという。

 韓国側の姿勢は10月下旬の李洛淵(イナギョン)首相と安倍首相の会談前後から軟化の兆しを見せ始めた。国会の文喜相(ムンヒサン)議長も4日、元徴用工問題の解決を目指す新たな法案の成立に意欲を示した。

 変化の背景には内政の事情がある。文政権は10月中旬、法相だったチョ国(チョグク)氏が親族の不正疑惑で辞任。消費や輸出も低迷し、支持率が急落した。今月10日に任期5年を折り返す文大統領は来年4月に総選挙を控えて外交戦略や経済政策の練り直しを迫られている。

 ただ、日韓間では問題解決へ向けた順序が異なる。韓国側は、日本が輸出管理強化を元に戻すことが条件だ。日本側は韓国側による元徴用工問題の解決を前提とする。安倍首相は4日の対話でもその「原則的立場」を重ねて強調した。

 安倍政権は6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で訪日した文氏との首脳会談を見送り、韓国国内は強く反発した。日本側には「韓国側は当時『文氏は対話を望んだのに、安倍氏が応じなかった』と国内外に宣伝した」(外交筋)との不信感がある。韓国大統領府報道官は4日、バンコク郊外で「韓日関係が未来志向的な関係に発展するよう望む」と述べた。だがその道筋は両国とも描けていない。 (ソウル池田郷、バンコク川合秀紀)

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ