豪雨被害 学舎再開へ 福岡・嘉麻の熊ケ畑小、来年1月に

西日本新聞 社会面 長 美咲

 昨年7月の西日本豪雨で被災し、別の小学校の教室を間借りしていた福岡県嘉麻市の熊ケ畑小が、来年1月8日から、復旧工事を終えた同小の校舎で授業を再開する。市中心部から離れた山あいにあり、人口わずか約500人の熊ケ畑地区にとって、子どもの声が響く学校は「地域の宝」。児童も住民も、豪雨から約1年半ぶりの学校再開を心待ちにしている。

 10月中旬、全校朝の会。柴田英生校長が「工事が遅れて今月には戻れないけど、3学期には帰れることになりました」と報告した。延期は少し残念でも、戻れる日が決まって児童たちに笑顔が広がった。

 木造校舎が老朽化していた同小は、昨年6月から大規模改修工事を開始。その最中に西日本豪雨で被災し、裏山が崩れ、トイレや教室の壁が壊れた。全校児童21人は約3キロ離れた上山田小へバスなどで通う。工事を終え、10月中には元の校舎に戻る予定だったが、地盤沈下や、今夏の悪天候で裏山をコンクリートで固める作業が進まなかったことなどから完成が遅れた。

 熊ケ畑地区の主な産業は農業や畜産業。高齢化率は約52%で過疎化が進む。児童数の少ない熊ケ畑小は、きめ細かい指導や地域交流に力を入れてきた。特徴を生かした教育を維持させようと、市教育委員会は2013年、市内全域から通学できる小規模特認校に指定。今では半数以上が校区外から通う。

 地域の行事には児童も参加、明るい姿が高齢者を元気づけてきた。住民にとって「学校や子どもは地域の宝。なくてはならない存在」。被災後も、運動会、餅つき、稲刈りは同地区で行い、時には住民が上山田小に足を運んで地域と学校のつながりを大切にした。農家の平嶋勝さん(72)は「1年以上、子どもの声が聞けなくて寂しかった。年明けに戻ると聞いたときはうれしかった」。

 柴田校長は「普通ならば統廃合の検討がされてもおかしくない小さな学校だが、地域とともにある特性があるから、被災しても残ることができた」と語る。6年の永嶋環さん(12)は「小学生最後の学期を、学校でみんなと楽しく過ごしたい」。もうすぐ、静かな集落ににぎわいが戻る。 (長美咲)

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