【きょうのテーマ】ブラインドサッカー パラリンピックの競技 鈴が鳴るボールでプレー 見える人と見えない人が協力

西日本新聞 こども面

 2020年東京パラリンピックでは22種類の競技が行われます。そのうちの一つで、視覚障害がある選手の競技がブラインドサッカーです。こども記者5人が福岡県直方市で体験会(直方市教育委員会など主催)に参加し、競技について取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=ブラインドサッカー パラリンピックの競技

 ブラインドサッカーでは、ボールに入っている鈴の「シャカシャカ」という音を頼りにドリブルやパスをするという。「音がするなら見えなくてもそんなに難しくないかな」。そんな考えはアイマスクで目隠しをしたとたんに吹っ飛んだ。アイマスクは実際の試合でもゴールキーパー以外は必ず着ける。一人一人視覚障害の程度がちがう選手が平等にプレーするためだ。

 まず、見えないとまっすぐ歩くことができなかった。ゴールのラインを目指して直進したつもりでも、ずいぶん離れた場所にいた。

    ★  ★

 ボールを蹴るとなるとさらに大変だ。足元にボールを置いたのに蹴ろうとすると見当たらない。恐る恐る足で探し、「こっちこっち」とゴールの方から聞こえる声に向かってキック。「良い方向に行ったな」と思ったら、ボールは全く違うところに転がっていた。

 参加者は数人のチームに分かれ、2人一組でボールを追いかけた。アイマスクをした人は、していないもう1人に手を引いてもらった。誰かにぶつかりそうな気がして、走るペースがゆっくりになった。試合では選手同士がぶつからないようにするため、ボールを奪うときは「ボイ(スペイン語で「行く」)!」と言いながら相手に向かっていくのがルールだという。

    ★  ★

 北九州市をホームに活動するチーム「LEO STYLE(レオ スタイル)北九州」がプレーを見せてくれた。元日本代表選手の山口修一さん(41)らのドリブルやパスは、目が見えていないとは思えない素早さ。シュートも迫力満点だった。

 「正面10メートル、8メートル、6メートル…」「左45度。シュート!」。シュートしようとする選手に、ゴールの後ろからガイドと呼ばれる味方のスタッフが大きな声で伝えていた。試合では監督もピッチの外から声で指示を出す。講師の先生は「ブラインドサッカーは見える人と見えない人とのコミュニケーションスポーツ」と言っていた。選手の力強いシュートでゴールネットが揺れ、まさにその通りだと思った。

 ●LEO STYLE北九州 元日本代表選手らにインタビュー「世界の舞台目指せる」

 「LEO STYLE北九州」メンバーで、元日本代表の山口修一さん(41)ら5人にインタビューした。山口さんと高見沢信彦さん(30)は全く目が見えない全盲、他の3人には視覚障害はないという。

 暗い中でプレーするのは怖くないのだろうか。全盲の山口さんは「もともと真っ暗なので怖くない」という。敵と味方を間違えることはないか聞くと、「仲間同士でボールの取り合いになることはよくある。だからこそガイドやお互いの声かけが大切」と話す。

 ガイド役の上村将輝さん(25)は「自分の声の指示でシュートが入ると、チームでやっていると感じる」とやりがいを話す。ふだんは白杖を使って街中を歩く山口さんや高見沢さんは「ピッチの中では自由に走り回って自分のやりたいプレーができる。世界の舞台を目指すこともできる」と競技の魅力を語ってくれた。

 世界ではブラジルやアルゼンチン、中国やイランなどが強い。ヨーロッパ勢や日本はそれに続くレベルだという。「日本の実力もかなり上がってきている。ぜひみんなも注目して見てほしい」とメンバーたち。パラリンピックで海外や日本の選手たちがどんな試合をするか楽しみになった。

 ●わキャッタ!メモ
 ▼ブラインドサッカー 1980年代にヨーロッパや南米を中心に広まった。パラリンピックでの正式な競技名は「5人制サッカー」。国際ルールではピッチを走る4人は視覚障害者、ゴールキーパーは目が見える人が務める。ピッチの広さはフットサルと同じ40メートル×20メートル。全国には25チームあり、九州はLEO STYLE北九州とラッキーストライカーズ福岡(福岡市)の2チーム。

PR

こどもタイムズ アクセスランキング

PR

注目のテーマ