英語民間検定試験 見送り 大学入学共通テスト 唐突な表明に批判や疑問続々

西日本新聞 くらし面 四宮 淳平 本田 彩子 金沢 皓介

  萩生田光一文部科学相は1日、大学入学共通テストへの英語民間試験導入について、2020年度は見送ることを表明した。地域格差や経済格差、異なる試験をどう評価するかといった公平性の観点など、さまざまな疑問が上がる中での突然の展開。西日本新聞教育取材班が、九州在住者を中心に高校生や保護者ら約5800人に尋ねたところ、判断を一定評価する一方で、制度開始まで5カ月を切った中での決断を批判する声も相次いだ。

 福岡県筑前町の高校2年男子生徒(17)は1日朝、ニュースで延期を知った。学校側からのアナウンスはなかったが、同級生とは「とりあえず良かったなぁ」と喜んだ。

 ただ、1年から英検を受けるなど準備して英語に比重を置いた対策を重ねてきた。「今までの対策は何だったのか…。民間試験がないなら、他の教科にもっと時間を費やせた。人生が懸かった大学受験なのに、いいかげんな制度では困る」と語気を強めた。

「分からないことだらけで不安」

 導入が予定されていた新制度は、英検やGTECなど7種類の民間試験の成績を2回まで、大学が合否判定などに活用するものだった。入試の際に登録できる成績は、高校3年以降の4~12月に受ける2回までだが、2年生までに練習として何度でも受験することが可能だ。

 熊本市の自営業女性(52)の高校2年の息子は、腕試しで3日に英検準2級を受ける予定という。「決まってしまった以上、受験に不利にならないよう受けさせなければと思っていた」と女性は話す。息子は学校の試験勉強の傍ら、英検対策にも追われていた。「勉強自体は無駄ではないが、何のための対策だったのか」。女性は釈然としない。

 英検は既に事前申し込みがスタートしており、試験を受ける座席を確保するため、予約金の3千円を支払っている2年生も多い。「予約金がどうなるのか気になる。分からないことだらけで不安」と福岡市の高校2年女子生徒(16)はこぼした。英検を運営する日本英語検定協会は文科省と協議し、対応を早急に決めたいとしている。

 文科省は今後、民間試験の活用の是非も含め、1年をめどに見直しを議論する。中3の娘がいる福岡県大任町の公務員女性(44)は、大学入試の練習のため、娘に英検などを複数回受験させ、塾の講座にも通わせてきた。「学校や塾に中学生からやった方がいいと勧められた。母子家庭で検定料の出費などは正直痛いけれど、娘の将来のためなのでやりくりしてきた。娘の受験のときにどうなるかと思うと怖い」と声を落とす。

 福岡市の公立高校男性教諭(43)は「延期したからと言って問題が解決するとは思えない」と話した。

「受験生ファーストに」

 萩生田氏がテレビ番組で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と発言したのは10月24日。かねて有識者や全国高等学校長協会などから導入延期を求める声が上がる中、発言からわずか8日後の方針転換。高校2年の娘がいる北九州市の主婦(46)は「当事者の高校生に目が向いておらず、本当にいい迷惑。結論が分かっていたことを無理に進めた結果、混乱を拡大させた。“受験生ファースト”になっていない」と批判。千葉県の高校1年男子は「もっと早く発表してほしかった。一生懸命勉強してきた受験生にあまりに失礼だ」と憤った。

 福岡市の高校2年の息子がいる母親(51)は「もし民間試験を導入するならば、受験生が公平に受けられる統一のテストにするべきだ」と提案した。(金沢皓介、四宮淳平、本田彩子)

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