【ラガーマン記者が読み解くW杯・番外編】 取材最前線に聞いた「ジャパンの強さ」

西日本新聞

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が2日閉幕した。約1カ月半に及んだW杯に合わせ、勤務地の佐賀から西日本新聞ウェブ上で連載コラム「ラガーマン記者が読み解くW杯 ゼロからラグビー」を書いてきたが、会場で観戦したのは熊本でのウェールズ対ウルグアイ戦のみ。宴は終わったものの、もう少し現場の空気を吸いたい。日本代表を最前線で取材してきた同社運動部の大窪正一記者に、じっくり聞いた。(入江剛史)

 なぜ日本代表は強くなり、多くの人の心を揺さぶったのか-。その答えは「日本代表の多様性が社会の縮図」という言葉に詰まっていた。

◇固定観念を崩した

-なぜ、こんなに強くなったのか。

 「一つは、日本人が考える限界、固定観念を崩せたことだと思う。『日本人は小さくて弱くて状況判断も苦手だから得意なパス回しを磨くしかない』という発想を変えた。キックを交えてアンストラクチャー(陣形が整っていない)の状態をつくり、状況判断して動く。そういうラグビーを、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)がチームに落とし込めたのが大きい。選手は殻を破ったような自信が芽生えたのではないか。キックを使うか、ボールを保持するか、二つのパターンの戦い方を相手によって使い分けられるようになった」

スコットランドを破って8強入りを決め、歓喜する日本代表の選手たち(撮影・中村太一)

◇エディー体制からの転換

-前回W杯で日本代表を率いて南アフリカから大金星を挙げたエディー・ジョーンズ氏(現イングランド監督)は「ジャパンウェイ」を掲げた。日本人の勤勉さや持久力で勝負した。

 「私も当初は、ジョセフHCが目指すラグビーに懐疑的だった。キックからの失点が続く中で、日本人には無理だというトーンで書いてきた。エディー体制で成功体験を持つ選手にもプライドがあり、ジョセフHCとの間で信頼関係が構築されていない状況があった。リーチ・マイケル主将が『エディーのように規律を厳しくしたほうがいい』と主張し、ジョセフHCとぶつかったりもしたとも聞いた」

 「大きかったのは、ジョセフHCが世界最高峰のスーパーラグビーに参戦する日本チーム、サンウルブズの指揮を兼務した2018年度の1年間。選手がジョセフHCと長い時間を過ごし、指揮官の考え方を理解した。さらにジョセフHCとサニックス(現・宗像サニックス、福岡県)で一緒にプレーした藤井雄一郎氏がチームの中枢に入り、その距離を縮める役割を担った。思うような成績は出せなかったが、ジョセフHCのラグビーでやれるという感じになってきた。日本でのW杯を迎えるまでに『ワンチーム』になれたのが大きい」

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