修復費捻出へ写真集出版 老朽化進む炭鉱王・貝島太助像 直方の市民有志

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 直方市殿町の多賀町公園に立ち、老朽化が進む炭鉱王貝島太助の銅像修復を目指す市民グループ「さんりん舎」が、写真集「新直方物語-暮らし編」を出版した。市民の寄金による建立から満60年。「修復も市民の力で」と訴え、売り上げを修復費用として公園の管理者である市に寄付する。

 写真集はA4判で全56ページ。直方文化連盟が2009年に写真集「直方物語-街並み編」を発刊した際、執筆や編集を手掛けた当時会長の中村幸代さんら有志が結集し、続編として「暮らし編」をまとめた。1冊千円(税別)。80万円の寄付を目標に、市内の主な書店などで販売している。

 「暮らし編」は、直方駅上空から撮った昭和20年代の市街地の写真から始まり、戦前や戦中の人々の表情やまちの様子を挟んで、戦後の世相や1953年に遠賀川堤防が決壊した大水害、64年の東京五輪聖火リレーのにぎわい、祭りの光景などを、現在のまちの情景を交えながら盛り込む。

 キャプションを書いた牛嶋英俊さん(直方郷土研究会会長)は「写真に何が写っているか、写真から何が読み取れるかを心掛けた」と話す。市民や出身者らに呼び掛けて収集した中から「人々の顔や暮らしの実態が見える」という写真を主体に約130枚を選び、デザイナーの和田佳久さんが誌面編集に当たった。

 太助像は腐食や劣化が進んでおり、直方駅前に立つ大相撲の大関魁皇(現浅香山親方、同市出身)像の製作者で彫刻家の片山博詞さんの指摘を受けたことをきっかけに、有志が修復へ立ち上がった。10月末には、牛嶋さんらが大塚進弘市長を訪ね、寄付を申し出るとともに、修復を要望した。

 大塚市長は「貝島氏は筑豊炭鉱王の御三家の一人だが、あまり光が当てられていない。先人の遺徳をしのぶためにも、銅像をないがしろにしたくない。市民の思いを大切にし、必要なことをしっかりとやっていきたい」としている。

 「暮らし編」に寄せた一文で、牛嶋さんは「明治中期以来、直方市の発展に寄与した貝島太助とその一族の功績は突出して多大」「その歴史と恩義を忘れないためにも、太助像は市民の手によって今後も永く後世に伝えられるべきと思われる」とつづる。「さんりん舎」=0949(22)2388。 (安部裕視)

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