ゆうちょ銀行員「リスク隠し投信契約」 高齢者ら苦情毎月100件 内部資料「営業実績を優先」

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

 「79歳の母が500万円の外貨建て保険を契約していた。認知症の母にそのようなリスク商品を販売するのは違法ではないか」

 「貯金の手続きに行ったら強引に投資信託の話をされ、訳も分からないまま契約に至ってしまった」

 西日本新聞が入手したゆうちょ銀行の内部資料には、投資信託や外貨建て保険を契約した高齢者からの苦情が多数記載されていた。「貯蓄から資産形成へ」。未曽有の低金利が続く中、同行は元本割れのリスクがある金融商品の販売強化を打ち出すが、現場の行員は「営業目標を達成するため、一部で顧客の意に沿わない販売が行われている」と証言する。

 内部資料には今年7月19日~10月4日に寄せられた顧客からの苦情内容が並ぶ。高齢者が商品のリスクに関する説明不足を訴える内容が目立つ。

 別の資料によると、投資信託などに関する苦情は昨年8月以降、毎月100件前後で推移し、かんぽ生命保険の不正販売が発覚した今年7月は約600件に急増した。2018年度の課題として「必要なプロセスの形骸化、商品性の説明が不十分」「お客さま本位よりも目先の営業実績の確保に意識が行きがち」などと記している。

 同行は投資信託の販売残高を17年度末の1兆6千億円から27年度末には10兆円に拡大する計画。それに伴い、現場に課せられる営業目標は毎年増え続けている。

 ある行員は「目標は増えても、買いたいお客さんはそんなにいない。どうしてもリスクをあいまいにした営業トークになってしまう」と打ち明ける。

 別の行員は上司から「去年と同じ営業だと目標を達成できないぞ」とハッパを掛けられ、毎日朝から晩まで顧客に営業電話をかけ続ける。「こんな荒っぽい営業をしていたら、“第二のかんぽ”になってしまう」と嘆いた。

 同行は9月、70歳以上の高齢者に投資信託を販売する際、商品の理解度などをチェックするよう定めた内規に違反した不適切契約が、1万7700件あったと発表した。再発防止に向け、行員の研修や顧客対応に力を入れるが、販売自体は継続している。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「リスク商品を販売する以上、顧客の理解を得るための丁寧な説明が求められる。特にゆうちょ銀は郵便局への信頼を背景に販売しており、営業方法に問題がなかったか検証すべきだ」と指摘する。 (宮崎拓朗)

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