仕事のミスはあなたのせいじゃない! 前代未聞のマニュアル作成術

西日本新聞

 マニュアルの書き方や作り方を教えてくれる本ならたくさん存在する。しかし、ここまでユニークな本に出会ったのは初めてだ。なにしろタイトルが『「マニュアル」をナメるな!』である。怒っている。喧嘩を売っている。誰に? 世の中のマニュアル作成担当者、(おそらくほぼ)全員にだ。

 世間ではマニュアルに従うことを、悪い意味にとらえることも多い。「マニュアル世代」「マニュアル男」という呼称はその代表例だろう。だが著者は言う。それは読み手ではなくマニュアルが悪いと。世の中には、読み手の判断を奪うために作られたとしか思えない「邪悪な」マニュアルが存在すると。だが本来、マニュアルとは読み手に自主的な責任感を持つよう促すものなのだと。

 著者のマニュアルの目的はシンプルだ。「マニュアルがなければできない作業を、安全かつ効率的な手順に沿って、分かりやすく誘導すること」。この目的に沿っていないマニュアルは、すべて上述のように「邪悪な目的の産物」として一蹴される。では、どのようにすれば、最適なマニュアルを作ることができるのだろうか。いくつかポイントを紹介しよう。

・傍点や色文字、下線などで文字を目立たせるのは逆効果
・文章には否定形ではなく肯定形を使う
・ダブルチェックの工程はむしろ有害
・フローチャートは使わない

 それぞれの理由や具体的なテクニックについては、ぜひとも本書を当たってほしい。マニュアルのマニュアルとも呼べる本でありながら、ちっともマニュアル的でない、ユニークな例え話を用いた説明もこの本の魅力だからだ。

 たとえば「文章のメッセージは一つに絞らなければならない」ことの例として、キング牧師の有名な「I have a dream!」と繰り返す演説を取り上げ、もしあれが「I have 2 dreams!」のような煮え切らないメッセージだったら歴史に刻まれることはなかったはずだと語る。しばらく硬めの説明が続いたあとに突然『うんこ漢字ドリル』なるワードが飛び出してきたりもする。子ども向けベストセラー書籍のタイトルではあるが、確信犯としか思えない。

 著者は人間のミスの研究者。企業からミス防止策の相談を受けてきたが、ほとんどのケースでマニュアルに原因があったという。仕事でマニュアル作成に携わることのある人なら、間違いなく必読の一冊だ。

 

出版社:光文社
書名:「マニュアル」をナメるな!
著者名:中田亨
定価(税込):858円
税別価格:780円
リンク先:https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044312

西日本新聞 読書案内編集部

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