【きょうのテーマ】機動救助隊 現場へ急げ 福岡市消防局「ハイパーレスキューFUKUOKA」を取材 救助支える強い意志 災害や特殊な事故に力

西日本新聞 こども面

 皆さんは「ハイパーレスキュー隊」という言葉を聞いたことがありますか? 大きな災害や事故で力を発揮する消防の救助専門部隊のことです。福岡市消防局の機動救助隊(特別高度救助隊)「ハイパーレスキューFUKUOKA」をこども記者が取材。救助活動を支える特殊な車両や装備、一秒でも早く人の命を救うための厳しい訓練を目の当たりにしました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=機動救助隊 現場へ急げ

 機動救助隊は中央消防署(福岡市中央区那の津)に置かれている。署に着くと隊員の皆さんが私たちを迎えてくれた。みんながっしりした体格でこんな人たちが助けに来てくれたら心強いなと思った。

 隊をまとめる消防司令の城剛司さん(50)によると、同隊は2018年4月に発足。救助経験が豊富な隊員22人が2班交代で、24時間出動に備えている。昨年度は113件の出動があった。西日本豪雨で大きな被害が出た広島県など市外での救助活動も行った。

 出動命令は消防局の災害救急指令センターから出る。「2分以内で出動できるように常に準備している。仮眠も救助服姿でとる」と城さんは語り、「1秒の差が人の命を左右することも。どんな現場にも対応できるように常に装備も確認している」と力を込めた。

 ■特殊車両がずらり

 隊員の山本浩司さん(31)の案内で署の1階にある車庫を見学した。いつも見ている消防車とは違うタイプの車両が並んでいた。

 直径1・6メートルある巨大な扇風機のようなファンを備えた大型ブロアー車は、トンネル内で火災が発生した場合、風と水を送り込んで有毒ガスなどを排出させるのに使用する。地震などの際にビデオカメラが付いたチューブを建物のがれきの間に入れて、被災者がいないか確認する画像探査機の使い方も教えてもらった。多様な装備を見ているだけで機動救助隊が対応する任務の難しさが伝わった。

 事故車のドアをこじ開ける重さ約20キロのスプレッダーや消火用ホースの束を山本さんにサポートされて持った。「車で近づけない現場も多い。救助は1秒を争うので重い装備をかついで全力で走る」と聞き、すごい体力だと思った。

 ■汗まみれの訓練

 署内にある訓練棟の4階で機動救助隊と飯倉救助隊の合同訓練を見学した。訓練はマンホールの底で酸欠状態になった人を救助するという想定で行われた。訓練用の深い穴の上に組み立てた救助用の三脚にロープをつなぎ、隊員がおりていく。穴の中から「分かりますかー」と倒れている人の意識を確認する声が響き、私たちも緊張した。

 取材時の気温は32度。三脚を支え穴の中を見つめる隊員の顔から汗がしたたり落ちるのが見えた。救助の現場を支えるのは車両や装備ではない。誰かを救いたいという人間の強い意志だと知った。

●「チームワークが大切」「できないこと一つでも減らす」

 城さんと山本さんに仕事への思いなどを聞いた。現場で大事にしていることを城さんに聞くと「現場では隊員同士が声を掛けあい、状況を共有することが大事。チームワークが大切なので日頃から何でも話せるようにしている」と答えた。最近の災害の傾向を聞くと「豪雨による水害や土砂崩れでの出動が増えた。自然災害の規模が大きくなっている」と危機感を募らせる。

 山本さんに仕事で心がけていることを聞くと「人の命をあずかる責任の重い仕事。ベストの状態で働けるように常に体調を整えている」と答えた。訓練の大変さを聞くと「確かにきついときもありますね」と笑い、「救助に時間がかかれば助かる命も失われる。現場でできないことを一つでも減らしたいという思いで訓練に取り組んでいます」と語った。

 ●わキャッタ!メモ
 ▼ハイパーレスキュー隊 特別高度救助隊(福岡市や北九州市、熊本市など政令市の消防局と東京消防庁所属)や高度救助隊(福岡県久留米市など中核市や県庁所在地の消防局や消防本部所属)の通称。新潟県中越地震やJR福知山線脱線事故などを受けて、2006年から主要都市での設置が義務づけられた。「ハイパーレスキューFUKUOKA」の名称は公募で付けられた。

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