満州国建国前後の新旧紙幣 中央銀の見本台帳が見つかる

西日本新聞 中山 憲康

 満州国(現中国東北部)が建国した1932(昭和7)年前後に流通した新旧紙幣を、当時の満州中央銀行がまとめた見本台帳が宮崎県えびの市で見つかった。地方政府などが発行した計84種類の旧紙幣が並ぶ「旧紙幣様本帖(ようほんちょう)」と、建国後に統一された新紙幣5種類の見本券を収めた「紙幣様本帖」で、新旧紙幣の換算率や発行年、印刷所が分かる。新旧台帳がセットで保管されていた。東京大大学院経済学研究科の小島浩之講師(中国史)は「当時の経済事情の実態を知る貴重な資料だ」と指摘する。

 同大経済学部資料室によると、旧紙幣の見本台帳は研究機関などが所蔵するが、新紙幣の確認は初めて。

 新紙幣は当初、壱百圓(円)、拾圓、五圓、壱圓、五角(0・5圓)の5種類あり、図柄は数回変更された。木箱に納められたB4判大の見本台帳は、5色の満州国旗などをデザインした32~33年発行の第1期と、孔子や孟子を描いた35~38年発行の第2期の2版が貼り付けられていた。

 太平洋戦争に際して日米の経済格差を指摘したことで知られる「陸軍省戦争経済研究班」(通称「秋丸機関」)を率いた秋丸次朗主計中佐(当時)が戦後、故郷えびの市に持ち帰った資料の中にあった。秋丸氏は関東軍経済参謀として満州国建国にも関わり、その際に入手したとみられる。

 秋丸氏の死後、資料を受け継いだ息子の信夫さん(81)が、現物を見た専門家の勧めで調査を進めたところ、貴重な資料と判明。8月下旬、東大経済学図書館へ寄贈した。同館は一般公開に向けて準備中という。

 小島講師は「旧紙幣の見本は記念のスクラップブックのような見方があった。今回新旧セットで見つかったことで、建国当時の新旧紙幣の交換に欠かせない業務資料だった可能性が高くなった」と話している。(中山憲康)

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