ゾウやキリンの大きさに驚き、ライオンやトラをおっかなびっくり眺める…

西日本新聞 オピニオン面

 ゾウやキリンの大きさに驚き、ライオンやトラをおっかなびっくり眺める。動物園といえば、子どもの頃のそんな記憶がよみがえる

▼「ぞうはいません」。わざわざ入り口に看板を立てている動物園がある。「ぞうは群れ社会で生きています。当園には群れを飼える広さがありません」との説明が

▼福岡県の大牟田市動物園だ。看板は、人気者のゾウを楽しみに来園した人への「お断り」だけではなく、「動物を幸せにする」という同園が大切にしている理念を理解してもらうためだ。大きなゾウさんが狭い場所で暮らすのはかわいそうだね-と子どもたちに考えてもらえるように

▼同園では飼育数を減らし、その分、スタッフが動物たちと向き合えるようにしている。例えば、猛獣の採血や検温。そのたびに麻酔をかけるのは、動物への負担が大きい。飼育員は粘り強く訓練を重ね、国内で初めて無麻酔採血に成功。動物の健康維持や長寿に役立っているそうだ

▼炭鉱の閉山と人口減で地域経済が停滞する同市。財政難から動物園の閉園が検討されたことも。だが動物福祉に特化した取り組みが全国的に注目され、来園者が増えたという

▼同園の挑戦を描いた映画「いのちスケッチ」がきょう、福岡県内で先行公開される。作中の動物園名は「延命動物園」。実際、延命公園内の同園を市民はそう呼ぶことが多い。名の通り、命を大切にする動物園の物語である。

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