現代の名工に竹ノ下左千夫さん ろくろ成形工

西日本新聞 長崎・佐世保版 平山 成美

 優れた技能者を表彰する2019年度の「現代の名工」に、県内から波佐見町のろくろ成形工、竹ノ下左千夫さん(69)=青以(せいい)窯=が選ばれた。ろくろ成形にとどまらず、独特の着色方法を確立するなど、長年の創意工夫で培った幅広い技術が評価された。

 陶磁器の生産工程を分業するのが一般的な波佐見町で、ろくろ成形から絵付け、焼成までを一人で担う。

 絵付け職人の父に「おまえは似合っている」と言われ、24歳で後を継いだ。やがて陶磁器を一から自分の手で作りたいと思うようになり、夜間に町内のろくろ教室に通った。

 ろくろは軸を取るのが難しい。今でこそ木製の牛ベラを使い、なめらかな曲線の一輪挿しや器を手際よく作るが「初めは土に遊ばれた」。自在に操れるようになるまで3年かかった。

 成形した器に模様や色を施す「加飾」の工程では、細やかな筆遣いでコスモスやアサガオを表現。素焼き前の器に金属の道具で模様を彫り、着色液を流して深みのある紫を出す「彩磁」には定評がある。中国由来の技法も探究した。

 こうした多様な技法は、発色を左右するうわぐすりの配合や焼成方法を変化させながら、長い年月をかけて磨いた。それでも「基本さえ守っていれば少し崩してもおかしくはならない」と、原点に立ち返る大切さを忘れない。

 「最後は炎だから。窯は失敗の方が多い」。窯から出した商品の全てを割らなくてはならないこともあった。「でも、そこが面白さかもしれない。地道にコツコツやってきたことが評価されたのかな。今まで以上に頑張らんといけん」。少し照れたような笑顔を浮かべた。(平山成美)

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