保釈率、九州で格差拡大 基準なく「裁判官次第」

西日本新聞 一面 山下 航 野間 あり葉

 刑事事件の被告が保釈を認められた割合(保釈率)は2009年から18年までの10年間で約2倍に上昇、32・4%に達する一方で地域差が拡大している。九州各県では、18年で最も高い宮崎県(30・9%)と、最低の長崎県(19・1%)では約1・5倍の差がある。保釈率上昇は国内外から批判が強い「人質司法」を是正する流れの一環だが、地域差が生じる背景には「明確な基準がなく、裁判官の考え方に大きく左右される」(裁判官経験者)という現状がある。

 最高裁によると、全国の地裁・簡裁での保釈率は15・6%だった09年からほぼ毎年上昇し、12年に20%、17年に30%を超えた。九州7県でも09年の13・9%から18年には28・0%に上昇したが、いずれの年も全国を下回る傾向にある。

 九州7県でみると、18年は佐賀(29・2%)が2番目に高く、福岡(29・1%)、熊本(29%)、大分(28・3%)、鹿児島(22・6%)の順だった。最高と最低の県の差をみると、09年は6ポイント台だったのに対し、18年は11ポイント台に拡大。過去10年で最も高かったのは16年の熊本で39・9%、最低は10年の宮崎で10・4%。県別だけでなく、年によっても大きな差が生じている。

 刑事訴訟法によると、証拠隠滅の恐れなどがなければ裁判所は保釈請求を認めなければならない。否認事件では勾留が長期化する傾向があり、日弁連や識者は「人質司法」と批判してきた。09年の裁判員制度導入以降は、被告と弁護人に十分な打ち合わせの機会を確保すべきとの考え方が裁判官に広まり、保釈を認める流れが強まっている。

 保釈の可否は裁判官の個別判断で、詳細な基準や数値目標を設定して平均化を図るのには無理があるが、地域間の格差が大きいと不公平感が募りかねない。地方で勤務する裁判官は保釈を巡って法曹関係者と議論する機会に乏しく、問題意識を共有しにくいとの指摘もある。

 裁判官経験がある法政大法科大学院の水野智幸教授(刑事法)は「地域で保釈率にばらつきがあるのは裁判官の考え方に違いがあるからだろう。まずは裁判官が地域間で格差が生じていることを認識することが重要だ」と話している。 (山下航、野間あり葉)

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