大学推薦新卒者の1次試験を免除 小学校教員不足解消へ 宮崎県方針、21年度採用から

西日本新聞 一面 佐伯 浩之

 宮崎県教育庁(県教育委員会)が2021年度の小学校教員採用試験から、大学の推薦がある新卒予定の受験者を対象に、1次試験を免除する方針を固めたことが分かった。全国的に教員不足が深刻化する中、大学側の「お墨付き」を得た学生を積極採用することで、人材を確保するとともに教員の質も担保する狙い。教育関係者によると、新卒者を対象にした同様の施策は東京や埼玉県など大都市圏の教委が実施しているが、九州での取り組みは異例という。

 宮崎県の教員採用試験は毎年夏に実施。小学校教員採用試験は、科目の専門性や教養などを問う1次試験を行う。通過者は面接や模擬授業などを課す2次試験に臨み、最終的な合格者が決まる。新たな取り組みでは、在学する大学の教育学部の学部長推薦を得た新卒者について事前に面談などで意思確認を行い、1次試験を免除。2次試験を受験できる。

 対象は宮崎大など九州の大学に加え、全国の大学の教育学部に在籍する学生。県出身の新卒者を軸に想定しているが、同県で小学校教員を希望する県外出身の新卒者についても受け入れる方向で検討を進める。

 教員不足の解消や人材の確保を目指し、九州の多くの教委は、特定の資格や経歴を持つことによる一部試験免除や特別選考を実施している。こうした中、新卒の優秀な人材確保を目指して同庁は10月から、九州や中国地方の約10の国立大学法人に職員を派遣し、施策を説明。12月から来年1月にかけて、福岡県や熊本県などで行う学生向けのガイダンスに使うPR動画などの制作を進めている。

 宮崎県の小学校教員採用試験の倍率は、13年度の11・6倍を境に減少に転じ、20年度は1・5倍まで落ち込んだ。実際の採用者も予定数を下回った。文部科学省によると、19年度に全国で採用された公立小学校教員採用試験の受験者は5万1197人(前年度比1・8%減)で、採用者は1万5934人(同6・1%増)。休日が取れないことや、いじめ、学習障害(LD)など深刻な問題を抱える教育現場を敬遠し、受験者数は減っているとされる。

 現在、県内の小学校教員は約3400人。同庁は、宮崎大など九州の教育学部を持つ大学と連携、多様化する現場に対応できる教員の養成策などの協力も視野に入れる。将来的に中学校などの教員採用試験にも取り組みを広げたい考えで、日隈俊郎教育長は「積極的に施策を展開し、宮崎県の子どもたちを育てる優秀な教員を多く採用したい」と話している。 (佐伯浩之)

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多様な人材採用に

 岩手大大学院教育学研究科の鈴木久米男教授(学校経営学)の話 推薦者の選考で大学側は、本人に受験の意思を確認した上で厳格な審査で成績優秀者を送り出すことになる。これにより、採用側は一定数を確保できる。地元出身者以外にも枠を広げ、多様な人材を採用すれば採用地の教育界の質の向上につながるのではないか。

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