日中関係の強化 広がる親日機運をてこに

西日本新聞 オピニオン面

 中国からの訪日観光ラッシュが今年も続いている。日本の地域経済がその恩恵を受けると同時に、訪日で日本の魅力を体感し「親日」に傾く中国人も着実に増えている。中国の経済発展と日本政府の入国査証(ビザ)要件の緩和などがもたらした相乗効果とも言える現象だ。

 日本側では、中国の強権的な政治姿勢や軍事大国化に疑念や不安を抱く声が依然多い。その点は踏まえつつ、日中の互恵関係や中国側の対日意識の変化は前向きに捉え、市民レベルの交流をさらに広げていきたい。

 中国で「日本に良い印象を持つ」人の割合は45・9%(前年比3・7ポイント増)-。日本の民間非営利団体「言論NPO」などが今秋行った第15回日中共同世論調査で、こんな結果が示された。過去最高の数字である。

 「良い印象」は、尖閣諸島を巡る日中対立の影響で1割以下に落ち込んだ時期もあった。それが2014年以降、6年連続で上昇し、親日の機運がくっきりと裏付けられたかたちだ。

 この流れは訪日ラッシュと軌を一にする。中国人客は14年に年間200万人を超えて以降、急激な伸びを見せ、昨年は838万人に達した。今年1~9月も740万人(前年同期比14・8%増)と過去最高ペースだ。

 今回の世論調査では、日本に「良い印象を持つ」が20代では6割、訪日経験がある人では8割に上った。また、「日中関係は重要」という認識を持つ人は日中双方で7割を占めた。

 ただ、日本側で「中国に良い印象を持つ」人は15%(前年比1・9ポイント増)と低迷している。日本からの訪中客は年間200万人台で横ばい傾向が続く。背景には、中国の人権抑圧姿勢や香港の自治を巡る一連の混乱なども横たわり、日本側で「嫌中」意識が広がるのも事実だ。中国政府には、この点を直視してもらう必要がある。

 両国間では昨年来、首脳往来が復活し、来春には習近平・中国国家主席の就任以来初の公式訪日も予定されている。そこでは単に友好ムードを演出するのではなく、日本側から中国の覇権的行為の抑制、人権状況の改善などを強く促すべきだ。そうした姿勢は両国の市民からも支持され、関係の一層の改善につながっていくはずだ。

 政治体制は異なっても、貿易や観光では互恵、北朝鮮問題や東アジアの環境保全、地球温暖化対策では連携を目指すことが両国の利益や地域の安定につながる。

 国家の利害から離れた市民同士の素顔の交流、相互理解が深まればおのずと訪中ムードも高まろう。長い目で見れば紛争の抑止力としても働くはずだ。

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