芋焼酎で韓国酔わす 鹿大生、留学して試飲会 「関係が悪い時こそ交流」

西日本新聞 社会面 前田 絵

 【釜山・前田絵】鹿児島の大学生が留学先の韓国で、鹿児島産の芋焼酎を紹介する活動に乗り出した。日韓関係悪化で日本製品買い控えの傾向が続く韓国だが、各地の大学で試飲会などを計画。「日本酒に比べ、海外での焼酎の知名度は低い。芋焼酎を目的に鹿児島を訪れる外国人観光客を増やしたい」と意気込む。

 韓国釜山市の釜山経商大。昼下がりの教室に、芋焼酎のふくよかな香りが広がる。観光ビジネス日本語科の学生たち約80人に焼酎を振る舞っているのは、鹿児島大法文学部3年の黒瀬大夢(ひろむ)さん(22)。初めて味わったという金成倍(キムソンベ)さんは「芋の香りがいい。体が温まりますね」。金元彬(キムウォンビン)さんも「甘い香りで味がやわらかい。鹿児島の居酒屋で飲んでみたい」と笑顔で語る。

 黒瀬さんは、各地の蔵元で焼酎造りを支えた「黒瀬杜氏(とうじ)」の里、鹿児島県南さつま市笠沙町黒瀬地区の出身。父も亡き祖父も焼酎造りの職人だ。だがこれまでは「半年は職場に泊まり込み、家にいない父の仕事を誇りに感じてはいなかった」。考えが変わったのは昨年2月。大学の研修のため訪れた米国で、ホームステイ先や大学に焼酎を持ち込んで振る舞うと大好評。言葉や文化の違いを超えて喜ばれる焼酎や焼酎造りを初めて「すごい」と思えた。

 やがて米国で知名度がある韓国産の焼酎に興味を持ち、韓国への留学を決意。「鹿児島の芋焼酎を韓国に紹介したい」との思いから、文部科学省の留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」に応募。2月から釜山大に留学している。

 韓国では一般的ではない日本の芋焼酎をPRする黒瀬さんの活動は始まったばかりだ。今月は韓国各地の4大学で試飲会などを予定。今後は日本の焼酎を取り扱う酒店や飲食店なども巡るつもりだ。「酒文化への理解は、異文化理解につながる。酒の場に国籍は関係ない。日韓関係が悪い時こそ市民同士は交流しないといけない」と力を込めた。

 2018年の財務省貿易統計によると、韓国への日本酒の輸出額は22億1200万円、焼酎は8500万円。

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