石綿被害 個人事業主救済 福岡高裁判決、国とメーカーに賠償命令

西日本新聞 社会面 鶴 善行

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんなどを発症したとして、福岡、長崎、熊本、大分4県の元労働者と遺族計54人が国と建材メーカー12社に総額10億7800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11日、福岡高裁であった。山之内紀行裁判長は、国にのみ賠償を命じた一審福岡地裁判決を変更し、国とメーカー4社に計約3億4800万円の支払いを命じた。個人事業主(一人親方)に対する国の賠償責任も新たに認めた。

 原告側弁護団によると、高裁段階で一人親方に対する国の責任を認めた判決は4例目。国とメーカー双方の責任を認めた高裁判決も4例目となり、石綿被災者の全面救済への流れに沿った司法判断となった。

 判決で山之内裁判長は「国は1975年には防じんマスクの着用や石綿含有建材への警告表示を義務付けるべきだった」と指摘。一審判決が「労働者に当たらない」として救済の対象外とした一人親方については「労働者と同じ場所で同じ作業をしており、国が一人親方への賠償責任を負わないと解するのは正義公平の観点から妥当ではない」と判断した。

 建材メーカーに関しては「作業従事者が関連疾患を発症する危険性を予見できたのに、建材に警告表示する義務を怠った」などとし、12社のうち市場シェアが20%以上の4社に賠償を命じた。

 判決後、原告らは福岡市内で記者会見。一人親方として請求が認められた茨木康夫さん(71)=福岡県宮若市=は「一人親方も他の労働者と同じように働いてきた。長い闘いだったが、やっと報われた」と喜んだ。

 厚生労働省は「判決内容を精査し、関係省庁と協議して対応を検討したい」とのコメントを出した。 (鶴善行)

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