大嘗祭 県警ピリピリ 平成時、全国で過激派事件 皇室ゆかり神社放火、住民「もう二度と」

西日本新聞 社会面 小川 勝也 梅沢 平 西村 百合恵

 天皇陛下の皇位継承に伴う祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」の中心儀式「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」が14、15日、皇居で行われる。1990年、平成への改元時に行われた「大嘗祭」に絡み、全国で過激派のゲリラ事件が相次ぎ、皇室にゆかりがある福岡市の神社でも放火事件が起きた。福岡県警は警戒を強めている。

 のどかな田園風景が広がる同市早良区脇山の門戸口天満宮。地域で「お天神さま」と親しまれている。近くには、28年の昭和天皇即位に伴う大嘗祭に献上されたコメを作った主基(すき)斎田跡がある。

 平成の大嘗祭を3カ月後に控えた90年8月24日午前3時半ごろ、天満宮から出火、木造瓦ぶきの本殿約60平方メートルが全焼した。「一面火の海で高々と炎を上げていた」-。近所の男性(94)の日記には、当時の様子が克明に記録されていた。

 焼け跡から時限発火装置の部品とみられる電池やリード線が見つかり、「革命軍は完全炎上を勝ち取った」と犯行声明を残した過激派の犯行とみられた。県警は放火事件として約120人体制の捜査本部を設置したが、未解決のまま97年に時効を迎えた。

 天満宮は氏子や住民の寄付などで再建した。近くの女性(75)は「今も天満宮に行くと『誰かいるんじゃないか』と怖い。二度と起きてほしくない」と話す。

 天満宮の放火とほぼ同時刻には、大分市内の大分県農政部長宅でも放火事件が発生。県は平成の大嘗祭の主基斎田に選ばれていた。大嘗祭当日の11月22日早朝には、福岡市西区の天降神社でも放火事件があった。

 警察白書によると、90年は過激派が皇室行事を対象に活動を活発化させ、127件のゲリラ事件を起こした。その約4割が天皇陛下が内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」と大嘗祭の当日に集中したという。

 福岡県警は、今回の大嘗祭を控え、皇室ゆかりの施設や神社の巡回を増やすなど警戒を強化している。幹部は「過激派の活動も当時に比べて沈静化しているが、警戒や警備は抜かりなくやる」と気を引き締めている。 (梅沢平、西村百合恵、小川勝也)

■大嘗祭

 即位した天皇陛下が初めて執り行う特別な「新嘗祭(にいなめさい)」。皇位継承に伴う重要な祭祀(さいし)の一つで、毎年秋の新嘗祭と違い、一代に一度限り行う。中心儀式「大嘗宮の儀」では即位した陛下が国と国民の安寧や、五穀豊穣(ほうじょう)を感謝する。祭服を着た陛下がその年に収穫されたコメなどを神々に供えた後、自らも食べて祈るとされる。一方で、宗教色が強く、政教分離を定めた憲法に反するとの批判もある。

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