郵政株低迷、復興に影 売却益、「東日本」財源に充当 政府、売るに売れず

西日本新聞 一面 飯田 崇雄

 かんぽ生命保険やゆうちょ銀行の不正販売問題に端を発した日本郵政の株価下落が、東日本大震災の復興財源確保に影を落としている。政府はこれまで郵政株の売却益を財源に充ててきたが、今の株価では十分な売却益が得られないため、判断を先送り。かんぽ問題を受け、通常郵便物の土曜日配達を取りやめる郵便法改正案も今国会提出を見送った。株価回復につながる収支改善策は手詰まりで、国民の共有財産が目減りしていく。

 「国民共有の非常に大きな財産だが、足りない場合どうするかは改めて検討しなくてはいけない。知恵を巡らせるところだと思っている」。麻生太郎財務相は5日の衆院財務金融委員会で、政府が保有する郵政株の売却益が復興財源の目標額に達しない場合どうするのか問われ、こう述べるしかなかった。

 政府は現在、日本郵政の株式の約57%を保有。郵政民営化法は国の保有割合を「できるだけ早く3分の1超」まで下げるよう定めており、売却益は復興財源確保法で震災復興に充てることになっている。政府は2022年度までに4兆円程度を捻出する計画で、これまでに15、17年の2回、郵政株を売却し、約2兆8千億円を調達している。

 政府は4月、3回目となる追加売却に向けた準備を始めた。ところがその後、日本郵政傘下のかんぽ生命とゆうちょ銀の不正販売問題が明るみに出た。

 15年の上場時に1631円の初値を付けた郵政株は現在1012円50銭(12日)。不正販売を認めて謝罪した7月10日から16%下落した。政府が売却予定の株は約10億6千万株。1兆2千億円以上を確保するには、1株1200円に近い水準で売却しなければならない計算だ。

 増収に妙案はなく、予定していた経費削減も予定が狂った。不正販売問題を受け、総務省は郵便物の土曜配達を廃止する郵便法改正案の臨時国会提出を見送った。市場関係者は「将来的に600億円程度の収支改善効果が見込まれ、市場に好感が広がっていたのに」と語る。

 株価低迷を受け、追加売却に向けた政府の作業は事実上ストップ。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「日本郵政グループはガバナンス(企業統治)を含め、販売体制の抜本的な見直しを進めるべきだ。(改善策の中身が)投資家が信頼できる水準でないと、株価は上がらないと考えられる」と指摘する。 (飯田崇雄)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ