政権、世論恐れまた火消し 桜を見る会来年中止 「おごりは根深い」

西日本新聞 総合面

 またも追い込まれて方針転換。安倍晋三首相が13日、来春の「桜を見る会」の中止を決めた。世論の逆風を恐れての唐突な「火消し」は、この1カ月間に立て続けに起こった2閣僚の辞任、大学入試への英語民間試験導入延期と同じ構図だ。「国民の疑念に素早く応える。一貫した姿勢」と政府高官は自画自賛するが、「安倍政権のおごりは根深い」との声は政府、与党内からも噴き出している。

 首相の地元後援会員が優先的に、アイドルや有名人と一緒に花見ができる-。8日に野党が本格追及に乗り出し、こんな構図が明らかになるにつれ、首相側近は声のトーンを落とした。「多くの国民が『ずるい』と思うだろう。支持率低下に直結する恐れがある。大臣の連続辞任よりも、この問題ははるかにまずいよ」

 複数の政府関係者によると、首相官邸は桜を見る会の中止を検討する一方、菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相の更迭後も内閣支持率がほぼ変わらなかった経験を踏まえ、世論を注視していた。桜を見る会は旧民主党政権時代にも開催されており、「野党もブーメランを恐れて強くは追及できないはずだ」との見方も後押しし、一時期は「今回も乗り切れる」との観測が強まった。

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 風向きが変わったのは12日。テレビのワイドショー番組が軒並み一連の経緯を取り上げ、インターネットには問題点を特集した「まとめサイト」も登場。首相の事務所が地元後援会向けのツアー募集を仲介していたことも新たに分かり、世論の反発が一気に高まった。「事務所の関与が出てしまったのが効いた。首相に直接つながってくるからだ」(政府関係者)。桜を見る会をこのまま続ける選択肢は消えた。

 背景には、同様に首相に近い「お友達」の存在がクローズアップされ、支持率を大きく下げた森友・加計学園問題のトラウマもあった。内閣府が、桜を見る会の招待客名簿を「廃棄した」と説明していることも、加計問題の際に関連とされる文書が流出して傷口を広げた事態を想起させた。「翌年の招待客決定の参考にするため、桜を見る会の名簿は恐らく残っている。表になれば政権は持たない」と官邸関係者は話す。

 野党は「中止で、ふたをしたように思っていたら大間違いだ。国会で首相に一から聞かなきゃ終わらない」(立憲民主党の安住淳国対委員長)と気勢を上げ、与党内にも「ここに来て、長期政権に起因する問題が次々と出始めた」との懸念が広がる。

 13日夜。首相は記者団に「私の判断で中止した」と語ったのみで、質問には答えず官邸を後にした。 (東京支社取材班)

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