俳優の中山仁さんの訃報に接し、思い起こされるのはテレビドラマ「サインはV」…

西日本新聞 オピニオン面

 俳優の中山仁さんの訃報に接し、思い起こされるのはテレビドラマ「サインはV」。選手をしごき抜くバレーの鬼コーチ役だった。♪V・I・C・T・O・R・Y サインはV-で始まる主題歌。Vはもちろん「VICTORY(勝利)」のVだ

▼スポーツと根性を合わせて「スポ根」。1960~70年代にかけて、スポ根のドラマやアニメが次々と生まれた。同じバレーの「アタックNo.1」、野球の「巨人の星」、ボクシングの「あしたのジョー」…

▼血のにじむ特訓で超人技を身に付け、逆境をはね返して勝利をつかむ物語は、大人も子どもも引き付けた。経済は高度成長を続け、頑張れば成功をつかめるという夢を描けた時代を反映していたか

▼そのスポ根も昭和の遺物に。今の主流はV至上主義より選手ファースト。コーチが暴言で選手を叱咤(しった)し、心身の限界まで鍛えれば、間違いなくパワハラだ

▼日本高野連は来春の甲子園から1投手につき「1週間で500球まで」に球数を制限する方針という。投げ過ぎによる故障が問題となったからだ。確かにスポ根ヒーローも大きな代償を払った。星飛雄馬は魔球の負担で左腕が壊れ、矢吹丈は燃え尽きて真っ白な灰に

▼プロ、アマを問わず選手の健康は何より大切。時代の流れだが、稲尾和久投手のシーズン42勝、金田正一投手の通算400勝といった超人的な記録の可能性も減ると思えば、ちょっと寂しい。

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