桜を見る会 「公私混同」は許されない

西日本新聞 オピニオン面

 権力を行使する立場にある人が最も自戒すべきことの一つは「公私混同」である。あろうことか、安倍晋三首相にその疑いが持たれている。首相は国会で説明責任を果たすべきだ。

 公費で首相が主催する「桜を見る会」は、吉田茂首相時代の1952年から続く恒例行事である。菅義偉官房長官によれば「各省庁の意見を踏まえ、各界で功績、功労のあった人などを幅広く招待している」という。

 今年4月、東京・新宿御苑で開かれた同会に、首相の地元・山口県から大勢の支持者が参加した可能性があると、共産党の田村智子氏が参院予算委員会で取り上げた。田村氏によれば、前日に都内のホテルで開かれた首相後援会の前夜祭に約850人が参加しており「桜を見る会とセットで後援会の一大行事になっている」と追及した。

 首相は「主催者としてあいさつや招待者の接遇をするが、招待者の取りまとめには関与していない」と答弁した。招待者の詳細については「個人情報のため回答を控える」とした。

 野党各党は「公的行事の私物化だ」「公選法が禁じる選挙区内への寄付行為に当たる疑いもある」などと一斉に反発している。当然だろう。

 各省庁の招待客名簿を集約した内閣府の官房長は衆院地方創生特別委員会で「保存期間1年未満の文書と位置付けており、会の終了後、遅滞なく速やかに廃棄している」と明かした。

 もう文書は存在しない。だから調べようもない-と木で鼻をくくったような答弁である。

 まるで問題の発覚に備えていたかのような手際のよさに驚くとともに、森友・加計(かけ)学園問題で厳しく指摘された公文書保存の教訓は一体どこへいったのかという疑問も禁じ得ない。

 自民党の二階俊博幹事長が記者会見で「議員が選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」「何が問題なのか」と憤然とした口調で開き直った態度にもあぜんとする。国民感覚とのずれは長期政権のひずみではないか。そう疑われても仕方あるまい。

 桜を見る会は民主党の鳩山由紀夫内閣でも実施されたが、安倍政権下で招待客も支出額も目立って増加している。公金を使う以上、招待客の選考基準は透明化すべきだ。規模も当然、節度を保つことが求められる。

 批判の高まりを受け、菅長官はきのう、来年の開催中止を表明したが、それで済む問題ではない。野党側は衆参両院の予算委員会で首相出席の集中審議を求めている。ここは首相が自ら国会へ出向いて説明を尽くすべきではないか。「公私混同」を疑われる首相の下で国政が円滑に進むとは思われない。

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