べふはし?ひいがわ? 樋井川、橋の銘板調べたら

西日本新聞 ふくおか都市圏版 福間 慎一

 「橋の銘板について、調べてほしいことがあります」。丁寧に書かれた手紙が取材班に届いた。現場は福岡市を流れる樋井川。橋の四隅には名前や完成年月が記されているが、その配置が橋ごとに違っており、しかも「はし」「ばし」など読み方も統一されていないという。日常の風景に溶け込む、小さな謎を追った。

 疑問を寄せてくれたのは同市城南区の宮崎賢一さん(95)。樋井川近くに長く暮らし、退職後は点訳ボランティアなどに尽力してきた。校区内の散歩地図を作ったときに橋の銘板に注目し、不思議に思ったそうだ。

 別府橋から南は、1・5キロほどの間に七つの橋が架かる。1本ずつ調べると、確かに上流側と下流側、右岸と左岸にそれぞれ記された情報の配置にばらつきがあった=図参照。「市の中心部側(右岸)を漢字にする、というような約束事があるはずですが…」と宮崎さんは首をかしげる。

 国道202号の別府橋以外の6本は、いずれも福岡市道。福岡国道事務所によると、別府橋も完成当時は市が管理していた。

 市技術管理課に尋ねると、公共工事の設計書などを作成する際の手引に銘板の掲示の目安が記されていることが分かった。道路の起点側から終点側に向かって、橋の、▽手前右=漢字の橋名▽同左=河川名▽奥左=ひらがなの橋名▽奥右=竣工年月日となっている。

 7本の橋は梅光園橋以外、すべて右岸側に起点がある。目安に当てはめれば…あれ、うまくいかない。目安と実際の配置がずれているのだ。さらに紅江橋は起点と終点も逆。目安ができた時期は不明で「架け替え前の位置にならったのかもしれないが…」と担当者。

 別府橋は1969年の架け替えから今年ちょうど50年。本紙に残っていた架け替え直前の写真では、天神方面を向いて左手前に「別府橋」とある。しかし、現在の橋はこの位置に「べふはし」が記されている。

 この「べふはし」も通常とは異なる読みだ。7本の橋には「はし」「ばし」が混在しており、城南区は「濁音と清音のどちらが正しい、ということはないが、橋を管理する際は、橋名板(きょうめいばん)の表記に基づいている」(地域整備課)と説明する。ちなみに樋井川のひらがな表記にも「かわ」と「がわ」が混在。河川を管理する県によると正式な読み方は「ひいがわ」で、ますます統一感がない。

 ただ宮崎さんは、橋も川も濁点抜きの読み方が好きだ。「濁りのない川に、という願いを込めたのでしょう。美しい川は、これからも守ってほしいものです」。言葉どおり、樋井川の水質は年々改善。水質汚濁の指標となる生物化学的酸素要求量(BOD)は40年ほどの間に10分の1程度にまで下がっている。

 しかし肝心の謎は解明できないまま。手がかりをお持ちの方は、取材班にご連絡ください。 (福間慎一)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ