軒先リヤカー街に活気 福岡市の永野さん夫妻 食や雑貨販売、催しも

西日本新聞 社会面 郷 達也

 屋台文化が根付く福岡で、リヤカーを使ったユニークな市民プロジェクトが進んでいる。街中の店舗の軒先や私有地などを借りて食品や雑貨を売る「軒先リヤカー研究所」。普段はがらんとした通りににぎわいを生み、軒先を貸し出す実店舗への客も増えるなど相乗効果もてきめん。小規模サイズで動きやすいリヤカーの特性を生かした地域活性化の取り組みは、県外にも広がっている。

 福岡市中央区の大濠公園に近い銭湯の出入り口そば。カラカラカラと懐かしい音とともに「ひばり号」が現れた。プロジェクトの仕掛け人、永野裕和さん(33)、薫さん(34)夫妻=同区=が営む、おむすび専門店「おむすびひばり」のリヤカー屋台だ。

 月1回の朝湯イベントに呼ばれる夫妻は、手作りの玄米おむすびを販売。季節の食材を使った優しい味わいで、風呂上がりのランナーにも人気だ。

 夫妻がおむすびの行商を始めたのは2017年。裕和さんが以前勤めていた運送会社時代、街中でカートを押す中で空きスペースの多さに気付き、移動販売を思いついた。1万円でリヤカーを購入し補強。調理器具の準備など初期費用は15万円程度で済んだ。

 リヤカーは移動そのものが宣伝になる。現在は銭湯のほか、おもちゃ店のイベントや寝具店などに呼ばれ、軒先に出店。「この店、何やっているの」とおむすびをきっかけに店に入る客もいるという。

 そんな2人は同年、生活道具店と廃木材販売店の同世代の店主らと、リヤカー普及を目指すプロジェクトを立ち上げた。「街と店と人をつなぐ」を合言葉にリヤカー約10台を遊歩道に並べた「リヤカー商店街」や雑貨販売などのリヤカーイベント「小商(こあきな)いのススメ」を開いた。ホームページ(HP)にはリヤカーの図面と作り方を載せ、希望者に情報提供している。

 人気は他地域にも波及。大分県佐伯市地域おこし協力隊の平井佐季さん(31)=福岡市出身=はプロジェクトに共鳴し、17日、佐伯市船頭町でリヤカーイベントを開く。裕和さんも出店。平井さんは「移住者でもリヤカー一つで地元商店や土地の人と交流ができる」と魅力を語る。

 「(店舗型など)既存の形に疑問を持つところから始まった」と薫さん。気負わず、手元にある物や置かれた環境から新しい価値観を見いだし、自分たちなりにたどり着いた働き方だ。

 空き家や遊休スペースの活用にもリヤカーは有効という。「ただの軒先が、リヤカーがあるだけで新鮮な景色になる。地方の活性化にリヤカーをはめ込んでいきたい」。裕和さんはそう決意している。軒先リヤカー研究所HP=https://www.nokisakiriyaka.com/ (郷達也)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ