<今日太閤(たいこう)御所渡御(とぎょ)せらる、女中各御成(おのおのおなり)あり、終日花御遊覧す、路次茶や以下の結構、筆舌に尽くし難し>…

西日本新聞 オピニオン面

 <今日太閤(たいこう)御所渡御(とぎょ)せらる、女中各御成(おのおのおなり)あり、終日花御遊覧す、路次茶や以下の結構、筆舌に尽くし難し>。慶長3(1598)年3月、京都の醍醐寺で豊臣秀吉が主催した盛大な花見の様子を、同寺三宝院門跡の義演は日記に残した

▼今日、太閤がおいでになり、女性たちもそれぞれ来られ、終日、桜をご覧になった。通り道や茶屋の豪華さは筆舌に尽くし難い、との意味だ

▼醍醐の花見は、絶頂期にあった秀吉が権勢を天下に示すために開いた。配下の大名や武将の妻ら女性ばかり約1300人を招待。女性には1人3着の衣装を新調し、その費用だけで今のお金で約40億円かかったともいわれる

▼咲き誇る桜の下は、今も権勢を示す格好の舞台なのだろうか。日記にすれば「総理渡御せらる、後援会の皆さんも御成あり、花御遊覧す」。安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」である

▼公費で開催される会に、首相の地元後援会員らが多数招待されたとして、「公的行事の私物化だ」との批判が高まった。1952年から続く行事だが、安倍政権下で招待者が増え、支出が膨らんだ。誰を招くかの基準があいまいなまま税金が使われているのなら、国民も納得すまい。来年は中止というが、まずは事実をきちんと説明すべきだ

▼余談ながら、醍醐の花見は秀吉の最後の大パフォーマンス。その5カ月後に世を去った。花も人も盛りは久しからず-は世の習い。

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