識者と隊員OBに聞く 「よそ者」力 地域おこし協力隊10年

西日本新聞 九州+ 前田 倫之

 発足から10年を迎えた地域おこし協力隊。隊員と地域のミスマッチを防ぎ、定住・起業につなげるには何が必要なのか。現状や課題について、地方創生に詳しい識者と隊員OBの2人に聞いた。(前田倫之)

「定住率6割、厳しい数字」地方創生に詳しい福岡県立大教授の神谷英二氏

 都市部から地方へこれまでにない人の流れを生み出した意義はある。ただ、国は2014年に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の政策5原則を示したが、その中の「自立性」「結果重視」はいずれも道半ばだ。

 総務省は任期後の隊員の定住率6割で、自立性を担保したと胸を張る。裏を返せば4割がその地を離れており、厳しい数字だ。目標とする隊員8千人になれば単純計算で報酬と活動費は320億円。4割が定住しないなら130億円の税金の無駄遣いになり、このまま突き進むのは危険だ。

 結果重視では、10年で何が解決されたのか。特別交付税措置なので自治体側は人件費など手出しが不要な上、地方創生をやっているように映るから採用が増えているに過ぎない。具体的なKPI(重要業績評価指標)が設定されていないので、誰も成果を判断できない。自治体は、せめて募集時に3年間で実現してほしいKPIを示すべきだ。

 協力隊には今まで誰も手を打てなかった地域課題の解消が求められるが、わずか200万円の報酬ではそんな高度人材が、仕事を辞めてまで移住するはずがない。必要な人材には報酬を引き上げるべきだ。

神谷英二(かみや・えいじ)氏 1964年、愛知県常滑(とこなめ)市生まれ。東京大大学院人文社会系研究科博士課程修了。福岡県立大人間社会学部講師などを経て、2013年同学部教授。専門は現代哲学と応用倫理学。同県田川市地方創生・人口減少対策有識者会議委員長などを務める。

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