【動画あり】香港の学生、大学を“要塞化” バリケード、火炎瓶製造…当局に徹底抗戦

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

 【香港・川原田健雄】政府への抗議活動が続く香港で、大学が警察とデモ隊の新たな衝突の場となっている。12日には香港中文大に警官隊が突入し、大規模な衝突が発生。催涙弾と火炎瓶が飛び交い、激しい攻防が繰り広げられた。圧力を強める当局に対し、各大学の学生はバリケードを築いてキャンパスを“要塞(ようさい)化”し、徹底抗戦の構えを示している。

 「記者証を見せて。バッグの中身は何?」。15日、香港中部の山の斜面にある香港中文大を訪れると、入り口で全身黒ずくめの若者に呼び止められた。学生による検問だ。記者を装った当局者を警戒してか、チェックは厳重だった。

 香港メディアによると、12日の衝突では警察が催涙弾約千発を放ち、デモ隊は火炎瓶約200本で応戦。60人超が負傷した。“激戦地”となった陸橋「二号橋」には焼け焦げた車両やタイヤが散乱し、廃材でバリケードや高さ数メートルの「物見やぐら」が組まれていた。

 衝突後、大学は休校となったが、今もキャンパス内には他の大学からの応援も含めて多くの学生が泊まり込み、24時間態勢で警戒を続ける。構内には警察との衝突に備えて競技用の弓矢を練習したり、路上にばらまく「まきびし」を作ったりする若者もいた。

 体育館には催涙ガスを洗い流す生理食塩水など医薬品が山積みされていた。「全て市民からの寄付。支えがあるから頑張れる」と同大4年の男子学生(22)。籠城が長引けば大量のごみの処理などさまざまな問題が予想されるが、「事態が落ち着くまでは大学を守り続ける。それが中文大生の責任だ」と語った。

 香港当局は中文大以外の大学もデモ隊の拠点とみなして圧力を強めており、学生側は守りを固める。

 14日夜に訪れた香港理工大では、キャンパス内外の道路に無数のれんががばらまかれていた。「警官隊が突入しても足止めして、逃げる時間を稼ぐことができる」。近くにいた若者が話した。道路のあちこちに油を染みこませた紙や廃材が山積みされている。警察が来れば火を付けるのだろう。吹き抜けホールやバルコニーには催涙弾から身を守るため広げた傘が隙間なく並べて固定されていた。

 「抗争飯堂」の看板が掲げられた学生食堂では、マスク姿の男女が調理場に入り、野菜の炒め物や卵料理を無料で提供していた。食事中も若者たちはマスクを外さない。「当局のスパイがいるかもしれないから」(20代男性)。食堂の横では水やインスタント麺、衣服、日用品などを無料で受け取れる物資コーナーもあった。体育倉庫から持ち出したのかテコンドーの防具や競技用弓矢も置かれている。

 奥の部屋に進もうとすると制止された。「あそこは火炎瓶を作っているから立ち入り禁止だ」。別の場所では若者たちがビールを一斉に飲み干していた。空き瓶を火炎瓶の材料として使うためだ。食堂の一角には、卵の殻にペンキを詰める女性たちもいた。警官隊に投げ付けて目くらましにするという。“決戦”に備え、緊張感は高まる。

 「これだけ準備しても警官隊が突破してくるなら、その攻撃力は相当なものだ。それだけ強い力で学生を弾圧し、自由を奪おうとしている。鎮圧されても警察への恨みが強まるだけだ」。他の大学から応援に駆け付けた女性(18)は、当局の強硬姿勢には屈しない考えを強調した。

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