世論か同盟か、韓国岐路 失効まで1週間、米高官相次ぎ訪韓

西日本新聞 総合面 池田 郷

 【ソウル池田郷】23日に失効する日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)について、延長を求める米国が破棄を決定した文在寅政権への圧力を強めている。米国はエスパー国防長官や米軍制服組トップ、外交当局者らが相次ぎ訪韓。文大統領や閣僚らと会談して翻意を促した。一方で米側は在韓米軍駐留費の韓国側負担の大幅増も要求しているとされる。国内世論と米韓同盟の“重み”をはかりに掛けながら、文政権は難しい判断を迫られている。

 15日、米韓定例安保協議(SCM)を終え、鄭景斗国防相との共同記者会見に臨んだエスパー氏は「(失効して)得をするのは中国や北朝鮮だ」とGSOMIA問題に踏み込んだ。一方の鄭氏は「会議のテーマではなかった」と言及を避け、立場の違いが際立った。

 米国は今月に入り、畳み掛けるような動きを見せた。スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が6日、ソウルで康京和(カンギョンファ)外相と会談。文政権でGSOMIA破棄決定を主導したとされる金鉉宗(キムヒョンジョン)国家安全保障室第2次長とも会い、約70分にわたり説得したという。米軍制服組トップも14日に訪韓した。

 韓国は当初、GSOMIA破棄を、日本に輸出管理強化の見直しを迫る「カード」にする腹づもりだった。読み違えたのは、日本が譲歩しないだけではなく、仲介役として期待した米国が強く反発したことだ。

 だが足元の内政事情を踏まえれば、安易な譲歩は難しい。植民地時代の記憶が強い韓国ではそもそも軍事分野の日韓協力に抵抗感が大きい。GSOMIAが朴槿恵(パククネ)前政権末期に締結されたこともあり、世論調査では5割超が文政権の破棄決定を支持している。輸出管理問題で日本の譲歩を引き出せないまま方針転換すれば、世論の反発は必至だ。

 文政権はGSOMIA失効が、在韓米軍駐留費問題に波及することも警戒する。革新系紙のハンギョレは、GSOMIA失効によって不安定化が予想される北東アジアの安全保障情勢と米軍駐留費を米側が関連付けることを懸念し「(米国は)駐留費交渉のてことしてGSOMIAを活用している」との見方を示した。

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