「悲劇」「奇跡」「歓喜」…

西日本新聞 オピニオン面

 「悲劇」「奇跡」「歓喜」。この三つの単語の前に来る地名が枕詞(まくらことば)のように浮かぶ人はサッカー好きだろう。それはサッカー日本代表の成長の軌跡でもある

▼「ドーハの悲劇」は1993年。日本がワールドカップ(W杯)アジア地区最終予選最終戦でロスタイムに失点し、本大会出場の夢を絶たれた。再起へののろしとなったのが「マイアミの奇跡」。96年アトランタ五輪で王国・ブラジルを破り、世界を驚かせた

▼「ジョホールバルの歓喜」は22年前のきょうのこと。相手は日本が苦手とした中東勢のイラン。延長にもつれ込む死闘は中田英寿選手の活躍の末、岡野雅行選手のゴールで決着。悲願のW杯初出場を果たした

▼選手の多くが「負けたら日本に帰れない」と重圧に震えた一戦。決定機を逃し続けた岡野選手は「地獄だった」と形容した

▼さて、来年の五輪開催地「東京」はどんな枕詞になるだろう。マラソンのコース変更の混迷は「東京の喜劇」か。原因とされた夏の猛暑が「東京の地獄」と呼ばれないか心配だ

▼ドーピング問題も影を落とす。世界反ドーピング機関(WADA)がモスクワの検査所から回収した保管データに改ざん疑惑が浮上した。事実ならロシアの国としての参加は難しそう。日本のモスクワ五輪不参加の苦い記憶もよぎる。ロシア選手にとって「東京の悲劇」とならねばよいが…。見たいのは世界中の人々の「歓喜」である。

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