堤防決壊どこでも起きる リスク知り早めの行動を 遠賀川河川事務所・大野所長に聞く

西日本新聞 筑豊版 長 美咲

 佐賀県を襲った記録的大雨や台風19号など、今年も大規模な水害が相次いだ。筑豊を流れる遠賀川も、これまでに何度も氾濫している。遠賀川を管理する国土交通省遠賀川河川事務所(直方市)の大野良徳所長(52)に、防災への取り組みや市民に伝えたいことを聞いた。

 -台風19号では多くの堤防が壊れた。決壊のメカニズムは。

 「一番多いのが堤防を乗り越えた水により削られていく越水。水が染みてもろくなった堤防が崩壊する浸透や、川の水の勢いで堤防が河川側から削られる侵食・洗掘もある」

 -昨年の西日本豪雨でも堤防が壊れる可能性はあったのか。

 「支川を含む19観測所のうち10観測所で最高水位を観測した。うち5カ所は堤防が耐えられる最高水位を上回り、いつ堤防が壊れてもおかしくなかった」

 「本川の決壊を防ぐため、支川の排水ポンプを止める運転調整をする直前だった。運転調整を行うと、支川の流域は浸水する。だが、雨量が増え、本川の決壊リスクが大きい場合、ポンプは止めなければならない。遠賀川ではまだ実施したことはないが、今後、大雨に見舞われた際、ポンプを止める可能性がある」

 -遠賀川の水害対策は。

 「国交省の方針に沿って150年に1回の豪雨に耐えられるようにするのが長期的な目標。ただ、それには時間がかかるので、現在は40年に1度の安全度を目標にしている。原則は水位を下げること。河道を掘削したり、せきを改築したりすることで川幅を広げている。下流の芦屋町から上流の嘉麻市などに向けて整備をしており、直方市まで進んだ。直方市や小竹町などでは、低い場所にある堤防のかさ上げをしている」

 -水害に備え、住民は何をすれば良いか。

 「まずはハザードマップなどを見て、地域の浸水リスクを知ること。地域のリスクに基づいて災害時に個人がどう行動を取るか、時系列でまとめたマイタイムラインも作ってもらいたい。例えば、浸水のリスクが高いならばいち早く避難する必要があるが、自宅が比較的安全ならば大雨の中、避難すれば、かえって危険だ。行動計画を決めておくことで、災害時に危険を回避する動き方ができる」

 -防災について見直されていることはあるか。

 「堤防決壊は起きる前提で、防災はハードに加えてソフトも重要視されている。自治会長や市町村の担当者を対象にハザードマップの見方やマイタイムラインなどを教える講習会を年度内に開く予定で、その知識を地域で広げてもらおうとしている。子ども向けには、遠賀川を通して災害を考える教材を作成し、流域の小学校115校に配布すると、約80校で活用してくれた」

 「昨年5月からは、遠賀川、彦山川、犬鳴川が氾濫危険水位に達したり、氾濫したりした場合は緊急速報メールを、スマートフォンや携帯電話に配信するようにした。河川事務所のホームページでは、遠賀川のリアルタイムの水位や画像を公開しているので参考にしてほしい」

 -災害に備え、伝えたいことは。

 「どの流域でも堤防決壊の可能性はある。近年の水害から分かるように『自分は大丈夫』は通用しない。リスクを知り、早め早めの行動を心掛けてほしい。もちろん、河川改修工事も全速力で進めていく」 (長美咲)

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