水俣発信「若い自分が」 胎児性患者の松永さん「水銀条約」会議へ決意

西日本新聞 社会面 村田 直隆

 水俣病の原因となった水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」の第3回締約国会議(COP3)が、25日にスイス・ジュネーブで開幕し、胎児性患者の松永幸一郎さん(56)=熊本県水俣市=がスピーチする。今もなお続く水俣病被害の苦しみや水銀規制の重要性を、自らの体験を交えて世界に訴える。16日に同市であった壮行会で、松永さんは「患者の思いや水銀の怖さなど、今の水俣の状況を伝えたい」と語った。

 松永さんは1963年、原因企業チッソの工場近くで生まれた。7歳まで歩けず、療育施設で育った。

 生まれる4年前、チッソは猫による実験で工場廃水が原因と突き止め、熊本大医学部も同じ調査結果を公表していながら、その後も9年間廃水は流され続けた。「国が早く規制していれば、こんな体にならなかった」。悔しさは尽きない。

 自転車で遠出するのが趣味だったが、47歳の時に右脚の股関節痛が急に悪化。現在は車いす生活を余儀なくされている。COP3でのスピーチの依頼を受け、体調面から迷ったという。会場やホテルのバリアフリー設備は現地入りするまで分からず、不安もある。それでも患者が高齢化する中、「まだ若い自分がやらなければ」と決意した。

 スピーチは約5分。各国に自分の声で伝えようと、英語の練習を続けている。2年前のCOP1で、胎児性患者の坂本しのぶさん(63)が「女の人と子どもを守ってください」と懸命に訴えた。バトンをつないでいくつもりだ。松永さんは「自分のような患者を二度と出さないでという思いが、多くの人の心に響いたらうれしい」と期待を込める。 (村田直隆)

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