歴史や古典を本格的に学ぶ人が必ずぶつかる壁が、古文書などの「崩し字」だろう…

西日本新聞 オピニオン面

 歴史や古典を本格的に学ぶ人が必ずぶつかる壁が、古文書などの「崩し字」だろう。漢字や仮名の形が大きく崩れている上、前後の文字がつながって分かりにくい

▼正確な判読は専門家でも骨が折れるとか。そこで注目されているのが人工知能(AI)。膨大な崩し字のパターンを学習し、瞬時に解読して現代語に変換する研究が進んでいるそうだ

▼専門家も読めずに「お蔵入り」する古文書も多いというから、AIで新たな史実や作品が発掘されるなら、いとをかし

▼AIがどんどん賢くなる一方で、人間様はどうか。高校生の読解力や文章力の低下が指摘され、2022年度から高校の国語が変わる。「現代文」が、実用的な文章の読み書きを学ぶ「論理国語」と文学作品を題材とする「文学国語」に分かれ、選択科目になる

▼実社会ですぐに必要となる国語力は、しっかり身に付けさせたい。ただ、近頃は本を全く読まない若者が増えていると聞く。授業で習って興味を持ち、夏目漱石や宮沢賢治を読み始めた人もいよう。論理国語だけを選択し、感性や想像力を育む文学作品と出合わないまま高校時代を過ごしてしまうのは惜しい

▼灯火親しむの候。秋の夜長は若い人たちも本を手に取って、文学の世界を旅してほしい。鑑賞力が低下したからと、坊っちゃんや風の又三郎の気持ちを賢いAIに解読してもらっても、いみじうすさまじ(とても興ざめだ)。

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