統制の裏 ひずみも 霞が関 萎縮し忖度 安倍政権最長へ

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 歴代最長となる政権が完成させた「霞が関統制」の裏側で、ひずみもあらわになっている。

 安倍晋三首相の地元後援会関係者が多数招かれ、各界で功績のあった人という参加基準が揺らぎ、「公的行事の私物化」批判が集まっている「桜を見る会」。臨時国会の最大焦点に急浮上し、12日には衆院の特別委員会で野党が招待者を調べるよう迫ったものの、内閣府幹部はにべもなく同じ答弁を繰り返した。「名簿は会の終了後、遅滞なく廃棄しております。事実上、もう調べることはできません」

 元文部科学事務次官の前川喜平氏(64)は、この事態を「安倍政権の常とう手段」と冷ややかに見る。

 2017年5月。政権を揺るがしていた学校法人加計(かけ)学園の獣医学部新設問題で、前川氏は「『総理のご意向』と記された文書を見た」と証言。すると文科省は、それまでかたくなに「確認できない」としていた文書の存在を一転して認めた。続けて18年3月には、森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんも明るみに出た。

 首相や周辺を守ろうと霞が関が忖度(そんたく)し、行政の公平性をゆがめる行為を平然と行った-。

 野党が政権を追及し、国会が紛糾した記憶も薄れないうちに、今再び「桜を見る会」で文書の取り扱いが疑問視されている。首相本人に直接関わるだけに、官邸は来春の開催中止というカードを早々に切って沈静化をもくろむが、前川氏は「潔白でないから、隠したままやり過ごそうとする。例えば、招待者名簿は必ず残っているはず」。繰り返される不祥事に「政権のおごり」が通底していると話す。

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 官邸が中央省庁の幹部人事を一元的に管理する内閣人事局が発足した14年を境に、こうした空気は一気に濃くなった。ある経済官庁OBは「官邸の意に従わなければ、すぐ飛ばされる。官僚は萎縮するばかり。まさに恐怖政治だ」。今夏も、政府高官の方針に反して知事選出馬に色気を見せた幹部官僚が、間髪入れず辞職に追い込まれたとのうわさが駆け巡ったという。

 第2次安倍政権は、直前の民主党政権が「決められない政治」とやゆされたのを反面教師とし、「速やかに結果を出す」(首相)ことにこだわって運営されてきた。多様な意見の尊重からは遠いその姿勢が、霞が関や永田町を越えて社会に息苦しさをもたらしているとの見方もある。 (河合仁志)

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