安倍政権 最長の源泉 首相在職 20日で通算2887日

西日本新聞 一面 一ノ宮 史成

 安倍晋三首相の首相在職日数が20日、第1次政権を含めて通算2887日に達し、戦前の桂太郎を抜いて憲政史上最長となる。この間の内閣支持率の推移に目を凝らすと、短命に終わった1次政権を教訓に、2次政権は国民生活の基盤となる経済を重視。これを土台にスキャンダルなど危機の芽を早期に摘み取りつつ、衆院解散や看板政策の掛け替えで世論の目先を変えながら、支持の底割れを回避してきたことが読み取れる。

 「美しい国、日本」を掲げた安倍氏は2006年9月、戦後最年少で首相に就任。すぐに保守色の強い政策に着手し、同年秋の臨時国会で「愛国心」重視の教育基本法改正や防衛庁の省昇格を実現した。

 発足直後に65%あった支持率が5割を切ったのは同年12月。郵政民営化を争点とした前年の衆院選で無所属に追いやられた「造反組」の復党容認がきっかけだった。政治とカネ問題も続発。発足4カ月で不支持が支持を逆転した。

 07年5月、憲法改正の手続きを定めた国民投票法を成立させたが、これに前後して「消えた年金」問題が発覚。支持率を反転させられないまま夏の参院選で与党過半数割れの敗北を喫し、9月に辞任に追い込まれた。

 「戦後レジーム(体制)に切り込む改革に挑んだ分、短期間に相当な政治的資産を使い切ってしまった」。安倍氏は今月発売の月刊誌インタビューで、366日で終わった1次政権をこう振り返っている。

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 民主党政権を経て再登板した12年12月からの2次政権では、支持率維持を重視した。就任会見で「デフレ脱却が政権に課せられた使命だ」と宣言し「アベノミクス」を始動。現在まで続く戦後最長の景気拡大を長期政権の基盤とした。

 支持率が安定すると、特定秘密保護法の制定や集団的自衛権の行使容認に踏み切った。支持率は下落したが、直後の14年9月の内閣改造で「女性活躍」を打ち出し、11月には消費税増税の延期を掲げて衆院を解散、大勝した。

 支持率の「貯金」をてこに異論の強い政策を進め、下がれば目先を変えて局面を打開。ポピュリズム的な選挙戦略もからめ、「1強」政治を安定させる-。15年には安全保障関連法で2次政権以降、初めて不支持が支持を上回ったが、翌夏の参院選直前に再び増税延期を掲げて勝利した。

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 政権最大の危機となった森友、加計(かけ)学園問題も、このパターンで逃げ切りを図った。

 長期政権が招く「忖度(そんたく)」批判で支持率は急落し、17年7月には不支持率が2次政権最高の53・1%に達した。安倍氏は翌月に内閣改造。さらに同年9月、唐突に「国難突破」を掲げて衆院を解散した。意表を突かれた民進党は分裂、与党圧勝で安倍氏は窮地を脱し、求心力を取り戻した。

 トランプ米大統領との親密な関係を土台にした対米関係の安定もあり、この1年の支持率は5割前後を維持する。一方で、足元の政局は首相主催の「桜を見る会」を巡り、ぐらつく気配も見せる。

 安倍氏の自民党総裁としての任期は21年9月まで。再登板後、衆参両院6回の大型国政選挙を全勝した安倍氏がどう世論を見極め、次の解散戦略を描くか。政界の注目が集まる。 (一ノ宮史成)

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