福岡市出身のミュージシャン、甲斐よしひろさんが以前、本紙で「九州少年」というエッセーを連載している…

西日本新聞 オピニオン面

 福岡市出身のミュージシャン、甲斐よしひろさんが以前、本紙で「九州少年」というエッセーを連載している。高校3年時の逸話があった。天神のライブハウス「照和」で歌った後、「いい声だね。君いくつ」と話し掛けられたそうだ

▼声の主は姫野達也さん。後に「心の旅」「青春の影」「サボテンの花」などの名曲を生み出す地元のバンド、チューリップのメンバーである

▼その照和で甲斐さんはプロデビュー前の彼らの演奏を見た。「ズバ抜けたステージ」だったという。「これでプロになれなかったら、この街の人間すべてにチャンスはない」と思えるほどのレベルだったと絶賛している

▼高い音楽性や曲の完成度は当時から知られていた。博多では既に人気絶頂の存在。けれど、最初の上京では挫折を味わう。不本意な出来に終わったレコーディング。メンバーの脱退。見通せない将来への不安にもさいなまれていた

▼博多では誰もが一目置く実力バンドである。もし彼らがそのまま頓挫していたら…。後に照和から続いた甲斐さんや海援隊、長渕剛さんたちの活躍も違った展開になっていたかもしれない

▼いま本紙で、リーダーの財津和夫さんが「あちらとこちら」と題して当時の思い出をつづっている。厳しい冬に耐えて鮮やかな花を咲かせるチューリップ。勝負曲「魔法の黄色い靴」を携えてメンバーは再び東京へ。春の訪れまで、あとしばらく。

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