相次ぐ米軍事故 規律の「緩み」が目に余る

西日本新聞 オピニオン面

 在日米軍の最前線で耳を疑う規律違反が繰り返されていた。飛行中の戦闘機で手放し操縦や携帯電話による自撮りといった危険行為が常態化していたという。一瞬の気の緩みは人命に関わる事故につながりかねない。米軍には猛省を促したい。

 一連の規律違反は、山口県の米海兵隊岩国基地に所属する戦闘機部隊の事故に関する米軍の調査報告書で判明した。

 調査の発端は昨年12月、高知県沖で起きた事故だった。この部隊の戦闘攻撃機と別の部隊の空中給油機が接触して墜落、6人が死亡・行方不明となった。乗員2人の尿検査で睡眠導入剤の成分を検出した点を挙げ、飛行任務に不適切だった可能性があると報告書で結論づけた。

 2016年4月にも沖縄県沖で同じ部隊が接触事故を起こしていたことも公表された。いずれも空中給油中の事故で、沖縄の事故で犠牲者は出ていないものの、徹底した検証を行っていれば、高知の事故は防げた可能性は否定できない。

 報告書では相次ぐ空中接触の背景に薬物乱用やアルコールの過剰摂取といった「職業倫理にもとる実例」の存在を認めた。単なる現場の規律の緩みにとどまらず、組織が抱える構造的な問題が浮き彫りになった。

 さらに看過できないのが日本政府への通報を怠った点だ。米軍は事故現場が「日本の領域ではなかったため」と日本側に説明している。だが、事故を起こしたのは岩国基地所属の戦闘機であり、沖縄県の嘉手納基地に着陸した経緯を考えると、日本と無関係では済まされない。

 今月に入り青森県では米軍三沢基地所属の戦闘機が訓練中に「模擬弾」を射爆撃場外の民有地に落下させるトラブルが起こった。火薬が入っていない弾とはいえ重さ約230キロである。一歩間違えば惨事になる可能性もあった。このケースも日本側への通報は翌日と遅かった。

 米軍の駐留には地元の理解が不可欠だ。にもかかわらず、事故トラブルの発生は改善されるどころか事態は深刻になり、人命軽視とも取れる対応が続く。規律が守られず安全が確保されなければ、基地負担を強いられている地元住民の反発を招くだけというこれまでの教訓から何も学んでいないのか。

 政府も事の重大さを受け止めなければならない。9月下旬の報告書公表を受け、防衛省が岩国基地の地元自治体に伝えたのは翌月だ。その後、規律違反の詳細を報道機関の取材で知った首長が懸念を表明し安全対策を国に訴えたのは当然だろう。政府は米軍に安全確保と情報提供の徹底を強く要請し、国民には説明を尽くすよう求める。

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